1903年にドイツ博物館が設立され今年2003年で100周年を迎えた。ドイツ博物館は1903年工学士オスカー・フォン・ミラーによって設立されたもので、自然科学・工業技術の分野において世界最大の博物館(70000m2を越える展示場に約80000点の展示物がある)である。
そのドイツ博物館100周年式典は5月10日土曜日、連邦大統領ラウ、バイエルン州首相シュトイバー、ミュンヘン市長ウーデなどが出席して行われた(一般人は参加できない)。また同時に幾つかの展示分野も出来たが、その中でも交通に関する新たな展示場がミュンヘン市内の、かつてメッセ会場であったテレージエンヘーエに完成し11日日曜日に開館した。
その交通分野の展示場開館にあわせて、11日午前11時から歴史的な乗り物のパレードが行われた。この大パレードは博物館島から市内を通り、新たな展示場側のテレージエンヴィーゼに向けて、約1時間、約250台の乗り物で行われるものである。
というわけで僕も日曜日朝からドイツ博物館まで出向き、沿道からそのパレードを観ようと思っていたのだが、11時を回った頃にドイツ博物館に到着したので、パレードは既に始まっていた。僕はボッシュ橋の袂で場所を見つけパレードを観た。
パレードが行われている道の横に停車していた大型トレーラーにはバンドが乗っていて、生演奏がされている。沿道の人も時々その音楽に合わせて手拍子をし、またその中を自動車やオートバイがクラクションを鳴らしながら、時にはエンジン音を響かせながら通り抜ける。天候は小雨が降っていたものの、現代の歴史絵巻を楽しむことが出来た。
いずれにしても、こういった歴史のある古い乗り物が単なる置物ではなく未だ実際に動くというのが素晴らしい。それだけ丁寧に整備もされているのだろう。そういえば以前、ネパールのとある乗用車が修理費用不足の理由で同国の工科大学に放置されているというニュースがあった。この車は1939年、ヒトラーがネパールのトリブバン国王に贈ったメルセデス・ベンツでこの車種は世界に3台しか現存しておらず非常に貴重なもので、また首都カトマンズを走った初めての車らしい(ヒトラーが何故、自動車を贈ったかは不明なことらしい)。
この車は国王が利用した後、工科大学で学生に自動車メカニズムを教えるために使われたそうだ。同国の元首相が購入するという話もあったそうだが、書類上の問題でそれは実現されず今も工科大学に整備されないまま放置されてあるらしい。
今回のドイツ博物館のパレードのように、過去に触れるのも非常に大切だと思うが、そこから同時に未来も見ることが出来ればと思う。出来ることならネパールの車も修理され、今後の研究等に利用されればと思う。しかし一つ思うのは、この車の修理のためにドイツは何も出来ない(しない)のだろうか。例えばドイツが、その修理整備等に力を貸せば、それは同時にヒトラーのドイツにも手を貸すことになるのだろうか。この車の維持について今後どういった判断がなされるか僕には分からないが、僕自身、過去のない未来はないと思うが故に、未来を考えるときには同時に過去をも意識して欲しいと思う。
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