やまねこの物語

日記 「音楽の長い夜」

2003年5月24日土曜日20時から翌日午前3時まで、ミュンヘンでは「音楽の長い夜」と題されたイヴェントが催された(今年で4回目)。これは先に挙げた時間にミュンヘン市内約100箇所で約400のコンサートが演奏されるというものである。場所はバイエリッシャー・ホーフ、フィア・ヤーレスツァイテンなどのホテル、バイエルン州立歌劇場、ガスタイクなどの音楽ホール、タンボジやフローリアンなどのカフェ、聖ルーカス教会、ザルヴァトァー教会など教会、ミュンヘン音楽演劇大学やバイエルン放送局、カール広場の地下など市内のいたる場所で行われた。またジャンルもクラシック、ロック、ポップス、ジャズ、ラテン、ブルース、サルサ等様々なものがあり、同様にチケットも有料のものもあれば無料のものもある。

このイヴェントについて数日前からテレビやネットなどでも紹介され、僕もそれが開催されるということは知っていたが、特に気には留めていなかった。その日の夜、僕は友人とカフェにいて、その近くをピアニスト・トラムなるイヴェント用トラムが走っているのに気が付いた。トラムの上には「音楽の長い夜」との看板があり、これも今回のイヴェントの一つであった。ピアニスト・トラム、トラムの中でピアノが実際に演奏されているのか外から見ただけでは全く分からず、興味があったので僕たちも近くのトラム乗り場に行きそれに乗ることにした。ピアニスト・トラム

このトラムは無料で乗ることが出来るようで、トラムの中は多くの人で一杯だった。友人達と一緒に乗ったとき、トラムの中からピアノの音が聞こえて来たが、出入り口付近は特に人が多く、それが本当に演奏されているのか、それともスピーカーから流れてきているだけか判断するのは難しかった。このイヴェント用トラムが走っている間も、トラムは平常ダイヤ通りに運行されているので、時々徐行をしたり、停止したりする。

このトラムはレンバッハ広場、カール広場、ゼントリング門広場、イザール門、マックスモニュメント、州立劇場、レンバッハ広場と旧市街地を一周(約30分)しているが、イヴェントとして乗っている人もあれば、移動の手段として乗っている人も多く、人の乗り降りがあって、いつの間にか僕たちはトラムの真ん中の方に移動することが出来た。そこにはピアノがあり、本当に演奏がなされていた。プログラムを見てみると、30分ごとに演奏されるもの、演奏者がかわるようで、「ニーベルンゲンの指輪」や70年代のポップス、映画音楽、ジャズ、タンゴ、サンバ、ウィーンのサロン音楽などがあり、一曲弾き終わるごとにコンサートのように拍手があった。

ところでこういったイヴェント用トラムは旧型トラムが使われるが、これは新しいトラムに比べ出入り口が狭く、また少し高くなっていて段差がある。このピアノをトラムの中に揚げるのは非常に難しかっただろうということが想像に難くない。

ところでミュンヘン市内には終電がなくなったあと深夜バスや深夜トラムなどが始発までの時間走っているので、(場所にもよるが)市内では深夜でも家に帰ることが出来る。そういえばパンフレットを見ていると、このイヴェントの間、開いているパークハウス(ガレージ)も幾つか紹介されてあった。僕は車に乗らないのでガレージに関しての意識が低いと思うが、イヴェントが夜遅くまであっても、ガレージがないと困る人も多いことを考えると、当然のことではあるが、深夜開いているパークハウスがあるということに感心した。

今回のこのイヴェントにどれだけの人が参加していたかは分からないが、この「音楽の長い夜」が開催された日は土曜日というだけでなく、天候も非常に良かったので夜の街には多くの人がいた。日付がかわってからも、地下鉄に乗っている人の数は普段より多く、多くの人が外に出ているのが分かった。中にはドレスやスーツを着て、コンサートからの帰りという人の姿もいつもより多く見受けられた。この日はそれだけ(普段より)遅くまでコンサートがなされていたのだろう。同時にレストランなども普段より遅くまで営業していたのかも知れない。
 

ピアニスト・トラム

ピアニスト・トラム

ピアニスト・トラム

ピアニスト・トラム

足

ピアノを弾く人の椅子が動かないように
隣の人が足で押さえている

猛獣に注意!

ピアノの横にあるビラ
猛獣に注意!

(2003年05月25日)

 

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