やまねこの物語

日記 光の旅

2003年6月14日(土)、15日(日)の両日、ミュンヘン市の845回目の誕生日が祝われた。その両日の夜のイヴェントとして「色のスペクトルによる光の旅」というものが行われた。これは新市庁舎の外観に様々な色の光を当てるというもので、午後10時、聖ペーター教会の鐘が鳴って暫くしてから、このイヴェントが始められた。しかし新市庁舎一階の灯りや横にあるルートヴィヒ・ベックというお店もライトアップされたままで、てっきり真っ暗闇の中でイヴェントがあると想像していたが、そうではなかった。ただ新市庁舎を見る際、場所によっては聖母教会と重なるがためか聖母教会のライトアップはなされていなかった。

おそらくシンセサイザーの音と思われるグワーンという低音に併せて新市庁舎の壁に光が当てられた。最初は例えば緑だけ一色といった感じに一色だけで壁を照らし、そしてそれが2色になり、徐々にその色数が増えていった。色が変わるごとに拍手をしている人もいれば「ブラヴォー」と叫んでいる人もいる。「綺麗」「素晴らしい」「魔術のようだ」といった声が回りから聞こえてきていた。ただ、色が青色に変わったときには「お化け屋敷のようだ」という声が聞こえた。確かに青色で不気味に浮かび上がる建物は、ホラー映画などに出てくる建物を想像させるかも知れない。新市庁舎はゴシック様式が故に、なおさらそう感じさせるのかも知れない。

逆に黄色から少し白色に近い色の場合は、それが金色に見え新市庁舎は非常に輝いて見えていた。同じ建物でも光の違いで見る者に与える印象は大きく変わってくる。また色によらずゴシック建築が生み出す明と暗のコントラストは、言い換えれば花火のようにも感じる。

ところで2002年夏から始められていた新市庁舎屋根の工事(装飾を建設当時のものに戻す作業)が先日終了した。「建設された当時」といっても、新市庁舎が完全に完成してから未だ100年も経っていない。「100年も経ってないもの」と聞くと、過去の建築ではなく新しい建築という感がする。自分の中で100年というものが非常に短い時間に感じられた。新市庁舎が現代に近づいたのか、それとも自分が約100年前に行ったのか、よくは分からないが、とにかく自分の中で時間の移動が感じられた。そんなことを考えながら「光の旅」を観ていた。

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

新市庁舎

 


(2003年06月17日)

 

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