やまねこの物語

日記 猛暑

先日、引っ越しをする友人の部屋の壁塗り(天井と壁)をした。比較的涼しい朝から作業を始めたが、お昼になっても終わらず、昼食を取りに外に出た。食事が終わって部屋に帰ってくると、ペンキの容器に蓋をしておかなかったのもあるが、容器の中の塗料が暑さで乾燥し、すっかり固まってしまっていた。残量が僅かだったというのもあるかも知れないが、結局それは使えず新たにもう一つ購入しなければならなかった。

今年2003年のドイツの夏は本当に暑い。湿度が日本ほど高くないので(ミュンヘンの2003年8月の最高は64パーセント)、蒸し暑いといった感じではないが、それでも今年は例年以上に暑く、ドイツの夏としては珍しく日本にいるのと同じように非常に多くの汗をかく。今年はヨーロッパ全体で暑いようで、自然発火による火事や水温上昇による生態系への影響も出ているらしい。

ドイツではこの8月、観測史上最高の40.8度(ザールラント州)を記録し(それまでの最高は1983年7月27日ゲルメルスドルフの40.2度)、最低気温もラインラント・プファルツ州で26.7度という観測史上最も高い最低気温を記録した(それまでの最高は1957年7月5日フライブルクで26.0度)。ミュンヘンでも同様に暑く最高気温36度(最も高い最低気温は22度)を記録している。しかし街中にある温度計(薬局に設置されてある)を見ると、気温は37度となっていたりするので、観測所ではなく日向ではもっと暑いかも知れない。いずれにしても気温の数字にかかわらずとにかく暑い。テレビの天気予報も気温が高いということを示す赤色がドイツ地図を覆っており、それを目にすると尚更暑く感じる。

またニュースではドイツ国内で涼しい場所を求めるならドイツ最高峰ツークシュピッツェ(標高2966m)に登るのが一番良いと報道されていたが、ここも例年より気温が高く10度となっていた。またバイエルン・アルプスでは18度となっており、比較的涼しいが、その他標高900メートル前後の山々では30度を記録したところもあり、山の上が必ずしも涼しいとは言えないようだ。

街中で涼を求めるには、個人的には美術館へ行くのが一番涼しい(場所によっては寒い)と思われる。美術館では絵画のためにエアコンが付いているからだ。また報道によるとビアガーデンに行く人も多いとのこと。確かに人が多い。ビアガーデンには日陰の場所も多く、また冷たいビールが喉の渇きをいやしてくれる。スーパーなどを覗くと、飲み物、特にビールが非常に売れているのがよく分かる。売り切れてしまって全くない銘柄も幾つかある。社会ではビール不足も懸念されているが、組合の発表によると在庫が完全に底をつくということはないらしい。ただ一部のメーカーでは、ビールはあっても瓶が足りないとニュースで報道されていた(6月の売り上げは昨年同時期に比べ9.3パーセント増)。

街中を歩いてみると、暑いというのがよく分かる。通りを行く人では上半身裸の男性の姿をよく見かけるし、噴水など水のある場所には、足をつけている人も多く、子供は全身濡れながら噴水で戯れている。英国庭園でも同様に普段人が泳がない河川のところで人が泳いでいたり、犬が気持ちよさそうに泳いでいる。これだけ暑いと水を求めにスーパーなどに入る回数も多くなるが、店頭に並べられてある果物や野菜が腐っているのも目にする。

とにかく今年の夏は暑く、人と会っても「暑い」という単語が会話には何度も出てくる。また、お店に入って物を購入するとき、レジでの挨拶に「暑い」というのがよく聞かれる。極端な意見かも知れないが「暑い」という単語はコミュニケーションに大いに役立っているかも知れない。

英国庭園で泳ぐ人

英国庭園で泳ぐ人

英国庭園で泳ぐ犬

英国庭園で泳ぐ犬

(2003年08月11日)

 

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