2003年9月20日(土)から10月5日(日)までの期間、テレージエンヴィーゼで世界最大のビール祭り、民族祭りであるオクトーバーフェスト(Wies'n2003)が開催され、今年はこの16日間に約600万人の来場者が予想されている。報道によると初日は半日だったにもかかわらず約50万人が会場を訪れ、ビールも56万マス(1マス=約1リットル)出たそうだ。その数字を見ると、このフェストを楽しみにしていた人が如何に多いのかが分かる。また1週間で300万人を突破し、これは昨年よりも40万人多いとのこと。今年は天候に恵まれ、また気温も高くビールが非常に美味しく感じられる。
今年、僕も何度か会場を訪れたが、正午過ぎに行くと何処のビアテントも空いていて、自由に座ることが出来た。夜になれば人で一杯で空いた席を見つけるのは難しく、テント内はビールを飲む人、歌う人の異常な熱気に包まれる。また各テントの周りにもビアガーデンがあり、そこでビールを飲んでいる人も多い。遊園地側には幾つもの絶叫マシンや数種類のメリーゴーランドなど大人から子供まで楽しむことが出来る遊戯施設がある。
フェスト期間中には民族衣装パレードを始め幾つかのイヴェントがある。2回目の日曜日にはバヴァリア像下で各テントのバンドの人が全員(約400人)で演奏するコンサートがある。このコンサートは何人もの著名人(例えば政治家など)が指揮をし、テレビでも生中継されている。この中でドイツ民謡の第一人者といわれる、ミュンヘン生まれでドイツ民謡コンクールでも優勝経験のあるエディット・プロックさんも歌っておられた(「おはようございま〜す」と日本語も披露された)。観客は手拍子で彼女の歌に乗っていた(彼女の歌は10月7-11日の「オクトーバーフェストin大阪」でも聴くことが出来る)。
ところでこのオクトーバーフェストの期間中は街中至る所で民族衣装を着た人の姿を目にする。地下鉄の中でもレストランの中でも、ごく自然に風景にとけ込んでいる。個人的に一番驚いたのはバイエルン州立歌劇場にオペラを観に行った時にも観客の中にバイエルンの民族衣装(革の半ズボン、羽根付き帽子など)を着た人達がいたことだ。考えてみればバイエルンではそれが正装であるから、劇場内にいてもおかしくはない。
街中、何処でも民族衣装を着た人の姿を目にすることが出来るが、バイエルン以外の人から見ると非常に田舎くさく見えるらしい。それ故かミュンヘンは100万人以上の人口があるにも関わらず、都市ではなく「大きな村」と称されることが多い。しかしバイエルンの人はそういった評価にもかかわらず、大人から子供まで普通に民族衣装を着ている。自分の文化を誇りに出来ること、こういったところにバイエルンの強さを垣間見ることが出来るかも知れない。
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