やまねこの物語

日記 ワサビ

「ひ〜」「うぉー」「ひゃ〜」。ワサビを口にしたドイツ人の反応だ。日本人でない人、例えばドイツ人と一緒に日本食レストランにスシを食べに行ったり、また簡単なホームパーティー(手巻き寿司等)に日本人でない人を招待したりする時に、日本人として気になるのは外国人のワサビに対する反応だ。ワサビを口にして冒頭のような言葉を発したり、また涙を流されると、日本の文化が受け入れられたようで日本人として嬉しく感じる。同時のその場の雰囲気も和やかなものに変わることが多い。

ワサビにも色々な種類があるらしいが、学名は Wasabia Japonica (日本名は「本草和名」)というらしい。ワサビは生魚に付けると殺菌効果があり、また魚の生臭さを消すのにも効果があって、それ故お寿司などに使われたとのこと。もちろんワサビが使われた理由はそれだけではないだろうが、いずれにしてもワサビはお寿しとは切っても切り離せない関係にあることは確かだ。

ところでミュンヘンにはスシを出す多くのお店がある。日本人が経営している所だけでなく、他のアジア人が経営しているところや、またカフェやバーのメニューに Sushi を見つけるのも珍しくなくなった。聞けばバイエルン州立歌劇場でのオペラの幕間にも出されているとのこと。ドイツで、Sushi は非常に身近な存在となっているかも知れない。しかし日本人にとってスシと同じく身近な存在であるワサビは、ドイツではあまり馴染みがないらしい。

クイズ番組例えば、以前テレビのクイズ番組を見ていると、次のような問題があった。その時僕はテレビを観ながら、デジカメの手入れをしていたので、咄嗟にシャッターを押した。問題を簡単に書くと「ワサビとは日本の何か?」で、選択肢がA.チャボ、B.剣道、C.からし、D.大都市というものだった。この問題の難易度は中級レヴェルだったので、解答者にとっては難しいらしく、選択肢を4つから2つに減らすカードを使って正解を出していた(その2つはC.とD.)。

そういえばミュンヘンで寿しを握っておられる方が言っておられたが、ドイツ人などはお寿司を食べに来ても注文するのは、例えばカリフォルニア巻きやキュウリ巻きなどで、魚を注文する人は日本人に比べるとかなり少ないとのこと。つまりワサビが最初から入っているものは、どちらかと言えばあまり注文されないらしい。元々ドイツでは一般的に生の魚を食しないと言うことで抵抗がある人も少なくないのだろう。

ワサビコーティングされたカボチャの種そういった意味において、お寿しはドイツにもたらされて以来、日本人が意味するものとは別の食べ物になっている可能性もある。以前も旅先で、ご飯の上に何かが載っていたら Sushi ということがあった。海外から日本に入ってきた食べ物が日本人の口に合うように変わってきたのと同じように、ドイツでも他の国、地域から入ってきたものはドイツ風にアレンジされる。ワサビ抜きのスシも珍しくなくなるだろう。そのうちソーセージ寿しやジャガイモ寿しが出来ても何らおかしいことではない。ビールに合う味付けがなされるかも知れない。またスシと切り離されたワサビはドイツで今後、どういった道を歩んでいくだろう。

 

左の写真は国際ワインメッセで売られていたワサビコーティングされたカボチャの種

(2004年04月16日)

 

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