夏時間から冬時間に替わった2004年10月31日(日)、地下鉄1番線(U1)の
OEZ(Olympia-Einkaufszentrum、オリンピア・ショッピングセンター)駅が開業した。この駅はオリンピック公園の北西に位置し、オリンピア・ショッピングセンター西入口への表玄関になる。1999年3月に始まったこの駅の建設工事は2007年秋まで続けられ、完成時には地下鉄1番線以外にも3番線も入るようになる。そのための建設費は1億800万ユーロが見込まれているとのこと。
この駅の特徴としてはミュンヘンで最も大きな片持ち式の鉄筋コンクリート製天井(17メートル以上)を持つ構造となっており、またミュンヘンの地下鉄駅では初めて駅構内に自転車置き場が設置された。約400台収容の自転車置き場は地下一階に、地下二階、三階はそれぞれ一番線、三番線のホームとなる。
そして開業日当日はミュンヘン市長クリスチャン・ウーデ出席のもと開業式典が行われる。それに関するポスターが色々な駅構内に貼られていたので、僕自身もそれに対して興味があった。当日は小雨が降る天候で、また冷たい風が吹く一日だったので外出するか迷っていたところ、友人から「既に新しい駅にいる」という連絡があり、僕も急いで
OEZ 駅まで向かった。
地下鉄1番線に乗るため、駅に行くと
OEZ 駅方面の看板・表示は既にそのように変更され、OEZ 方面のホームには、おそらく同じ場所へ行くだろうと思われる人の姿があった。地下鉄に乗り込むと、中ではその新しい駅について話している人がいる。やはりみんな気になっているらしい。一体どのような駅なのか、当日が初めての運行なので誰もどのような駅なのか知らない。電車が駅に到着する前から席を立ち、あたりを見渡している人もいる。終点である
OEZ 駅構内に地下鉄が入ると、電車の中で歓声が沸き起こった。ドアが開くと、乗客は天井や壁などを見渡し、その新しい駅を注意深く見ているのが分かった。
僕にとって意外だったのは、この駅が青色を基調としていることだった。というのは、ミュンヘンの地下鉄の駅はその路線の色を示すことが多い。青色は6番線(U6)の色で、今回開通した路線の
U1 は濃い緑色である。それにもかかわらず青色だったが、これはもしかするとミュンヘンの交通機関(地下鉄、トラム、バス)の色に合わせているのかも知れない。また駅に関して気付いたのは、ショッピングセンターの駅にもかかわらずエスカレーターが一方向しかないことである。その上ホームもそれほど広くなく、そのエスカレーターのことを考えると少し使いづらさがあるようにも感じられた。しかし2007年に
U3 が開通すると、利用者も分散し、少しは利用しやすくなるとも考えられる。
新しい駅を見て少し興奮に似た気持ちを抱きながら、友人が待つ地上、特別会場へと向かった。が、そこは冷たい風が吹き、人を一人で立たせておくには相応しくない場所のように思えた。手を振る友人の姿を見つけて駆け寄ったが、やはり外は寒く、友人はその場で提供されているグリューヴァイン(香料入りホットワイン)を飲んでいたとのこと。僕がグリューヴァインを飲もうとした時には既に無くなったあとだったが、それはそれだけ外が寒いということを意味していた。(その地上の特設会場では、グリューヴァインだけでなく、ビール、アップルジュース、水などが無料で振る舞われた。何度飲みに行っても良い。)
その後友人と暖かい駅構内に戻って、そこで行われている催しを見ることにした。バンドの演奏や様々な関連商品の販売がなされている。ポストカードやマスコット人形などの他にも、バスやトラム、またドイツ鉄道で利用されていたプレートや看板なども販売されている。鉄道や乗り物ファンにとっては非常に嬉しいものかも知れない。また駅のホームでは、止まっている地下鉄の運転席を覗くことが出来、こちらも人集りが出来ていた。
ところでこの開業式典は冬時間になった日曜日に行われた。冬時間になる日、時計の針は一時間戻されるが、全ての
U1 の駅の看板・表示を変更するのに時間がかかることから、その日が開業日に選ばれたのだろうか。そのおめでたい日にもかかわらず、日曜日のショッピングセンターは休みである。その上、翌月曜日(11月1日)も万聖節(祝日)で、駅が開業したにもかかわらず、ショッピングセンターは2日間休みとなっている。この「間」の空き方が、いかにもドイツらしい気がした。
以下の写真は全て2004年10月31日(日)に撮影したもの。
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