2004年11月12日(金)から14日(日)まで市内メッセ会場
M,O,C, にて国際ワインメッセが開催された。今年で20回目を数えるこのメッセは、過去最高の318の出展者があった(昨年は291の出展者、来場者数約9700人)。1985年にミュンヘン市内のキュンストラーハウスで僅か56の出展者から始まったこのメッセは、その後会場も
M,O,C, に変わり、ドイツだけでなく他のヨーロッパの国々や南米、南太平洋の国々からも出展があり、現在はドイツ最大のワインメッセと位置づけられるようになった。それと同じようにして、ドイツ国民のワインに対する印象も、それまでの高級品的なイメージから身近な存在になり、ワインに対する関心も高くなった。現在ドイツは世界最大のワイン輸入国となったことでも、それが分かる。
11月14日(日)、僕は友人とその国際ワインメッセに行った。僕がここを訪れるのは3年ぶりだ。今年は15オイロの入場料を払って会場内に入った。一緒に行った友人は昨年も訪れていたが、友人によると昨年の入場料は13オイロだったとのこと。そういえば会場内に入る際に手のひらにスタンプを押された。同じ日なら再入場が可能ということであるが、これまでそのスタンプは目に見えるものではなく、特殊な光を当てることによって判別出来ると言うものであった。昨年もそうだったらしい。ところが今年は単に赤インクで22の数字が押されただけである(22と読める)。会場内で偶然出会った友人たちの手のひらにも同じ数字があったが、彼らとは入場した時間が違っていたので、少なくとも入場時間を示すものではないと言うことが分かったが、結局その数字は何を意味するのか分からなかった。しかもこのスタンプは擦れば滲み、石鹸で手を洗うと簡単に落ちるものだった。
友人と手のひらの数字のことを話しながら中に入り、まず友人が希望したハンガリーのワインを扱っているブースに向かった。ハンガリーのワインを扱っているところは入場の際に手にしたプログラムによると2カ所しかない。そのどちらも訪れてみたが、友人が求めていたトカイワインはなかった。このワインメッセの特徴は誰もが簡単にワインを試せることである。各ブースで、これを試したいと言うと、担当の人はイヤな顔一つせずワインをグラスに注いでくれる。またワインだけでなく、チーズやバターなど乳製品、パンやサラミなどのツマミも用意されている。口に合わないワインなら、礼を言ってそのまま返しても良い。
僕が今年欲しかったものは、これまで3度購入したことがあるオリーブオイルとブラントヴァイン(ブランデー)である。後者の方は幾つかのブースで試飲をしたが、どれも香りは強くて良かったものの、好みの物は見つけられなかった。オリーブオイルの方は以前出ていたお店を見つけることが出来なかったが、代わりにギリシャのオリーブオイルを手に入れることが出来た。
このワインメッセでは色々な物を試すことが出来ると書いたが、僕たちは普段あまり馴染みのないアイスヴァイン
Eiswein と、ソーテルヌ(フランス)、トカイ(ハンガリー)と並んで世界三大貴腐ワインといわれ、またドイツワインの最高傑作と称されるトロッケンベーレン・アウスレーゼ
Trockenbeeren auslese を中心に飲むことにした。両者とも天候の影響受けるので、数年から十年に一度しか生産出来ないものとされる。これらのワインを各ブースで伺うと、置いていないと言うところもあり、それだけ貴重なワインと言うことが出来る。
幾つかのブースでアイスヴァインとトロッケンベーレン・アウスレーゼをグラスに注いでもらった。口にすると、上品な甘さが口に拡がり、その甘さから、まるでジュースのような感さえ受ける。友人が「美味しい!」と言った時の表情が印象に残った。普通のワイン(赤ワイン、白ワイン)を普段あまり好んで飲まない人にとって、これらのワインは、ワインでありながらワインでないとも言うことが出来る。そういった意味ではワインの世界も随分と広く感じられ、ワインを知るということに関してワインメッセは、間違いなくその役割を果たしている。
それらの高級ワインを楽しんだ後、僕たちは会場を後にした。会場の外は、酔いが一気に覚めるほど冷たい風が吹き、非常に寒く感じられる。その後、二人でバイエルン州立劇場のバレエ「Romeo
und Julia」を観に行ったが、美味しいワインを飲んでいたせいか、非常に心地よくバレエを楽しむことが出来た。
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