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| 日記 白黒の水辺の世界 | 
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 昼過ぎに外出したとき、空は灰色の雲に覆われ、雨が降り出してもおかしくないような天気だった。家に帰るか迷ったが、そのまま少し散歩をすることにした。ミュンヘン市内を流れるイザール川の辺りは普段から散歩をしている人が多い。やはり水の流れに人は落ち着きを感じるのだろう。 川沿いを歩くと、木々が少しだけ黄色に染まり秋の気配を感じさせた。地面を見ると乾いた落ち葉が積み重なっている。そしてそこに落ちる夕陽の長い影に気が付いた。いつの間にか空は晴れ、眩しい太陽が輝いている。 川を流れる水の色も、空の色が映しだされているのか灰色から青色に変わったように見え、キラキラと光り輝いていた。またその夕陽を受け輝いているのは川だけではなかった。橋も少し眩しいくらいの金色に輝いている。 
 そして犬を連れて散歩をする人、ベビーカーを押している人、小さな子供を肩車して歩く男性、自転車に乗る人、ジョギングする人。色々な人が週末の夕方を楽しんでいた。 川沿いを歩いていると、聖ルーカス教会の厳かな鐘の音が聞こえた。後ろを振り返ると夕陽が川面に映え、光り輝く道を作っている。思わず目を細めた。それはあまりにも眩しすぎて白黒の色のない世界にも見えた。その中で教会の鐘の音が幾重にも響いていた。 
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| (2006年10月15日) | 
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