やまねこの物語

日記 週末の公園

公園天気予報によると今日は朝から雨だった。しかし時々分厚い雲の間から太陽が顔を出している。灰色の雲が広がってはいるものの、まだ雨は降っていない。午後になって雲の色が少し濃くなったように感じられた。週末の午後、街中を歩くと本当に人が多い。旧市街地などは買い物客や観光客などで溢れている。

雨も降らなさそうだったので、少し遠回りをして家に帰ることにした。公園を歩く。春や夏の明るい時期、そこには様々な色の花が咲き、噴水の周りには涼を求めて人が集まる。気持ちよさそうに足を浸けている人の姿もある。少し花の香りがする公園。ベンチだけでなく、公園内にある段差にも多くの人が腰を下ろしている。

しかし既に冬を迎えたこの時期にその公園を歩いてみると、噴水の水は止められ、空っぽの噴水の中には茶色の落ち葉が何枚も落ちていた。花も咲いていない。ベンチもひっそりとそこにあるだけで散歩をしている人も見あたらなかった。葉を落とした木々が揺れるのを目にするとなおさら寂しい空間に感じられる。

ポツリポツリと雨粒が落ちてきた。しかし雨音が聞こえる程でもない。歩調を変えることなく、そのまま公園の中を歩いた。ひっそりとした誰もいない空間。人の多い旧市街地に比べると別世界と言うだけでなく、時間の進み方も違っているようにも感じられる。

公園の向こう側に傘を差して歩く人の姿が見えた。時が止まったような静まりかえった公園の中では
赤色のその傘が唯一の生命のようにも感じられた。


写真はこの日記当日に撮影したもの。

(2006年11月18日)

 

menu
「日記」のトップに戻る