やまねこの物語

日記 フローマルクト

先日、街を歩いていたら、(多分)ドイツ人の人に声をかけられて道を聞かれた。考えてみると日本では、道に迷ったとき、そこに外国人しかいない場合だと、その人に「〜はどこですか?」と聞いたりせずに、次に日本人が通るまで自力で探すと思う。一般的に日本人が外国人慣れしていないと言うこともあると思う。でも僕がミュンヘンに来てから、道を尋ねられたり、電車の行き先を尋ねられたりした。ミュンヘンに住む人は外国人慣れをしているのかもしれない。でもミュンヘンは外国人が多い。住民の2割以上が外国系の人だと聞いた。日本だけでなく、アジア全般、旧東諸国やアラブの人など。もしかすると僕に道を尋ねた人はドイツ人ではなかったのかもしれない。西洋人らしかったけど。

先日、フローマルクトというものに出かけた。フローマルクトとは、のみの市のことである。ミュンヘンでも市が運営するフローマルクトがある。そこに行くと、ものすごい数の外国人を目にする。明らかにヨーロッパでない人がわんさかわんさかいる。特に売っている人がそうだ。比較的外国人(ドイツ人以外)が多いと思った。フローマルクトで得た収入は非課税になるらしいから、捨てるくらいなら売ってしまおうという人が多いようだ。だから売られているものも様々である。当然新古品みたいなものもあるが、「よくこんなものを売りに出すな。」というものまで売っている。例えば片方だけの靴とか、つぶれた家具、人からもらったであろうお土産など。

そういえば電化製品も多かった。といっても動く保証はない。ラジオなんかをよく目にした。でも聞いたところによると、結構壊れているものも売っているらしい。それを買った人が自分で修理をするのである。修理を出来ない人にとっては単なる「がらくた」だ。電化製品だけでなく家具など、「自分で直すもの」をよく見かけた。そういえば肖像画を売っている人も結構いた。おそらく先祖か誰かのだろう。でも誰のだろう。知らない人の肖像画を自分の部屋に飾るというのは、僕には抵抗がある。もしかすると「古い絵」というだけで、みんな買っていくのかもしれない。

このように書くと、「がらくた」ばっかり売っている感があるかもしれない。一見そんな気もするが、探せば結構いいものもある。僕は偶然いい色のジャケットを見つけた。その店が出している服は全部1マルクだった。1マルク、その日のレートで49円だ。だから「失敗してもいいか」みたいな軽い気持ちで思わずそのジャケットを買ってしまった。サイズは若干大きいがそれほど気にならない。色は赤系で結構いい。売りに出される前にクリーニングにも出されていたようだ。後日それを着てオペラにも行った。お気に入りである。

人から聞いたところによると、日本人でも結構、フローマルクトで買い物をする人もいるようだ。電気スタンドなどの小さな家具など、探せば結構おしゃれなものも発見できる。値段も手頃だ。でも考えてみると、このフローマルクトで売られているものをそのまま日本で売っても、あまり売れないと思う。日本人は比較的裕福な国民だと思うので、自分で修理するくらいなら新しいものを買うと思う。でもミュンヘンのフローマルクト、商品販売だけでなく、もしかすると同じ国、同じ地域出身の人たちの情報交換の場所になっているかもしれない。インターネットが日本ほど発達していない国の人が多いようなので。

結局僕が買ったのは、先に書いたジャケットと大理石のコースター。このコースター、インド産らしく、なかなかデザインもいい。実は僕が手にとって見ようとしたとき、思わず落としてしまって割れてしまった。お店の人は「問題ない」と新たなものに取り替えた。なんか悪いことしたなぁ、と思いそのコースターも買いました。12マルク。約600円。

大理石のコースター

大理石のコースター。重さや、分厚さはまちまち。

 (2000年5月22日)

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