やまねこの物語

日記 オクトーバーフェスト開幕

『ミュンヘンは第2次世界大戦で街の約40パーセントが被害を受けた。街の復興のために市は増税することを決め、特にビールに対する税金を上げた。ビールの値段が高くなったにもかかわらず、その売り上げは伸びた。というのは、「自分(市民)がビールを飲むことで街の復興のお役に立てるなら」と市民がこぞってビールを飲んだからだ。結果、街は戦前のように戻った。』というような話を聞いたことがある。ドイツ・バイエルンといえばビールを思い浮かべる人も多いと思う。その一大ビール祭り、すなわちオクトーバーフェストが「Wiesn 2000」と題されて開幕した。

ミュンヘン・オクトーバーフェストは世界最大の民族祭りとして知られ、毎年9月第3土曜日から10月第1日曜日までの16日間、市内のテレージエンヴィーゼ Theresienwiese で行われる。(それを略してヴィーズン wiesn という。)テレージエンヴィーゼの名前は、ルートヴィヒ1世と1810年に結婚した王女、テレーゼ・フォン・ザクセン=ヒルトブルクハウゼンの名前から付けられた。そのご成婚を祝ってこの広場で競馬が行われたのが、オクトーバーフェストの始まりで、ビールが振る舞われるようになったのは1818年ということだ。

オクトーバーフェスト、この期間中に600万人の人がここを訪れ、消費されるビールの量は600万リットル。35万羽のニワトリの丸焼きが出される。ビールはミュンヘンにあるそれぞれのビール会社が、この祭り用に特別に造ったもので、ジョッキは1リットルのみ。広場には5000人から10000人収容できる、ビール会社ごとのビアホール用テントが建ち並んでいる。

この期間、地下鉄などはオクトーバーフェスト用のダイヤになり、街の至る所で「オクトーバーフェスト」の文字を見ることが出来、ミュンヘンのテレビ(tv muenchen)でも、ずっとその特集をやっている。当然警官や警備の数も多い。祭りの開幕は土曜日正午12時。その開幕前に会場では、各ビール会社のビア樽を積んだ化粧馬車と会場で働く人々のパレードがある。その馬車に乗ってやって来た市長(現市長は Christian Ude)が、正午12時、会場にたどり着いたビア樽の一つの栓を開けて祭りが始まる。

と、説明が長くなったが、そのオクトーバーフェストが開幕した。僕はビールを飲む気はなかったが、とりあえず開幕だけでも見たいと思って午前中、会場に出かけた。とにかく地下鉄がものすごい人だ。開幕前からかなりの人が来ている。天気は雨、時々雷が鳴る不安定な天候だった。広場ではすでにパレード用の道が設けられていてロープが張ってある。僕は適当なところに陣取った。午前11時頃から、飛行機やヘリコプターが上空を旋回し始めた。いよいよパレードが始まったようだ。11時半頃、みんなが沿道で「まだか、まだか」と期待している中、まず警官隊の行進がはじまった。珍しくアウディのパトカー(普通はBMW)に先導され、馬に乗った警官隊が行進してきた。続いて市長。この後テレビでよく見かける有名人が通り、パレード沿道の声援は徐々に大きくなってきた。僕の後ろの人はずっと、「ブラヴォー」の連続で、ものすごく興奮していたようだ。

各ビール会社の化粧馬車が行進してくると、沿道の人は手を振ったり大声を出して自分の気持ちを出している。テレビカメラや報道のカメラマンもすごい数で、パレードに沿って撮影している人もいた。雨の中お疲れさまといった感じだ。民族衣装を着た各ビール会社のパレードは、それぞれが凝ってあって面白い。馬車を引く馬たちも各ビール会社の重い飾りを色々付けられている。またどの会社もブラスバンドを連れてパレードしていて、徐々に「祭り」という雰囲気になってきた。が、しばらくして警備の警官がロープをほどき始め、いつぞやパレードが終わっていた。沿道にいた人たちは、それぞれ好みのビール会社のテントに向かって移動している。その時、花火が上がり12時を知らせるとともに、ビール祭りが始まった。ビアホール用テントの中ではブラスバンドの演奏が始まっている。

ビール祭りといっても、大人だけが来ているわけではなく、ビアホール用テントのまわりには色々な露店や遊戯施設もある。この広場にはビアホール用テントのある通りと、もう一つの通りがあり、そちらは遊園地になっていて、ジェットコースターや観覧車、メリーゴーランド、数々の絶叫マシーンが並んでいて、大人だけでなく子供も楽しむことが出来るのだ。また広場に西側の丘にはバイエルンの守護神、ライオンを連れたバヴァリア像が立っている。これは1850年に完成し、当時としては世界最大で土台の高さは約30メートルある。その上に建つバヴァリア像(18メートル)は内部を登ることが出来、一番上の展望台からは市内を一望できる。というわけで、僕も登ってきた。当時の王や貴族もここを登ったに違いない。一体どんな景色を見たのだろう。この日と同じく、ビールを飲む陽気な人々を見たのだろうか。

(ここにあるテレージエンヴィーゼの写真は全てオクトーバーフェスト開幕日 2000/09/16 のものです。天候、雨。時々曇り、たまに雷)

オクトーバーフェスト正面入り口

オクトーバーフェスト正面入り口

 

ビアホール用テント内部

約1万人収容できるビアホール用テント内部
ビールはまだ出されていない

 

ビアホール用テント内部

左のビール会社とは別のビアホール用テント
中央にブラスバンドがいる

 

ビアホール用テント

ビアホール用テント
このようなテントがいくつも並んでいる

 

テレビ撮影

至る所で目撃することが出来たテレビの撮影
 

 

有名人と射撃団体のパレード

有名人と射撃団体のパレード

 

会場で働く人のパレード

会場で働く人のパレード

 

ビール会社のブラスバンド

ビール会社のブラスバンド

 

会場で働く人のパレード

会場で働く人のパレード

 

パレードのひとこま

「パレードのひとこま」
パレードを横切ろうとする観光客が多く、それを止めるのに苦労している警官。「もう、おねがいしますよ〜。僕の言うこと聞いてください。」後ろでは馬車から降りてきた人たちが踊っている。右はそれを撮影するカメラマンの群。

 

ビア樽

ビア樽



 

 

パレードを終え、通りで休む馬

パレードを終え、通りで休む馬
 

 

遊園地

遊園地
ジェットコースターや観覧車など、さまざまなものがある

 

丘の上から見た会場

丘の上から見た会場
ビアガーデンには雨の中、すごい人がいる

 

丘の上から見た会場

丘の上から見たオクトーバーフェスト会場
雨にもかかわらず、すごい人だ

 

バイエルンの守護神バヴァリア像

バイエルンの守護神バヴァリア像
頭の所には展望台がある

 

バヴァリア像台座内部螺旋階段

バヴァリア像台座内部螺旋階段
 

 

バヴァリア像内部螺旋階段

バヴァリア像内部螺旋階段

 

バヴァリア像から見るオクトーバーフェスト会場

バヴァリア像から見るオクトーバーフェスト会場

 

(2000年09月16日)

 

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