やまねこの物語

日記 ポケモン

最近のことだけでなく随分と前からヨーロッパでは日本のアニメが流行っている。今、街を歩いてみるとポケモングッズが必ず目に入る。ポケモン、ポケットモンスターの略で日本でもかなり人気があるようだ。といっても僕が住んでいたところでは、その放送をやっていなかったので僕は日本では一度もポケモンを見たことがない。で、そのポケモンが世界各国、もちろんドイツにもやって来て、こちらでもかなりのブームとなった。僕はドイツに来て初めてポケモンを見た。それに街に出るとポケモンを見かけない日は無いと言っていいくらい、ポケモンは繁殖している。コンピューターショップやおもちゃ屋、本屋、駅の売店など至る所にピカチュウがいるのだ。

先日、本屋に行くと、やはりそこでもポケモン関連書はいっぱいあった。子供用の絵本や小説まで並べられてあり、1メートルくらいある大きなカレンダーも売られていた。街にはポケモンTシャツを着ている人もいるし、キーホルダーなどのアクセサリーとして身につけている人もいる。とにかく街中でポケモングッズを見ることが出来るのだ。

ポケモンだけでなく、他の日本のアニメも人気がある。特に「セーラームーン」や「ドラゴンボール」など。今は「ちびまるこちゃん」や「キャプテン翼」なども放送している。テレビをつけていると一日に一度はこれらを目にすることが出来る。コミックの方でも日本の作品の進出はすごく、かなりのものが出版されている。「セーラームーン」「ドラゴンボール」「鉄腕アトム」「Dr.スランプ」「AKIRA」「らんま1/2」「エヴァンゲリオン」「マジックナイト・レイアース」「ロードス島戦記」「スレイヤーズ」「もののけ姫」「One Peace」「ああ女神様」などなど。僕は日本のオリジナルを知らないので正確な名前はわからないが、本当に色々出版されている。ここに挙げていない作品も幾つかある。ドイツの本屋のコミック売り場に行くとそのほとんどは日本の漫画だ。ドイツにはこのようなキャラクターがあまりないらしい。

ドイツの本屋は日本の本屋と違って一般的に立ち読みが自由に出来る。それどころか座って読むことが出来るように、お店の一角には椅子なども設けられてある。カフェまであるところもある。まるで図書館のようにゆっくりと本を選んだり、読んだりすることが出来る。その座って読むことが出来るコーナーで、日本の漫画を何冊も脇に置いて熱心に読んでいる人の姿をよく目にする。子供だけでなく学生やスーツ姿の人たちもいる。

また僕が通っている学校では、特にアジア出身の人たちから「ポケモン」や「ドラえもん」が彼らの国で放送されていると聞く。色々な国で日本のアニメや漫画が紹介されているようだ。そのような話を聞くと僕はもちろん嬉しい。日本の世界に誇ることが出来る文化だと思う。でも日本から進出しているのはこれらだけでない。ゲーム機などもそうだ。テレビを見ていると日本のアニメが放送されているときのコマーシャルには、日本のゲーム機の宣伝が入る。まるで至るところ「made in Japan」だという気もする。

そういえば先日、ミュンヘン郊外の大型ショッピングセンターで買い物をしているとき、友人の知り合いに偶然出会った。帰る方向が同じだったので車で送ってもらうことになった。彼はちょうど小学校に上がったばかりの子供を連れてきていた。その車の中での会話。その知人がその子供に向かって質問した。「後部座席に座っている人(つまり僕)はどこの国からやってきたと思う?」子供は適当に国の名前を挙げていたが全く当たらなかった。そこでヒントとして知人は「ポケモンと同じ」と言った。するとその子供はすぐにわかったらしく、「中国!」と答えた。

もちろん答えは違ったのだが、彼にとって、ポケモンは中国からやってきたものだった。次のヒント「ゲームボーイは?」と言うヒントで僕が日本から来たというのが分かったのだが、僕にとっては彼の答え、ポケモンが中国からやってきたと言うことの方が驚きだった。でも考えてみればそうかもしれない。というのは街中至る所で目にするポケモングッズはそのほとんどが中国製か台湾製だ。子供は色々なポケモングッズを手にしたり、嬉しくてぬいぐるみをずっと抱いていたりする。「中国製」や「台湾製」と目にすることが多いのだ。別に中国製や台湾製だとダメだと言っているのではない。ただ僕が今まで純粋な日本文化だと思っていたものが、実は日本だけでなく色々な国を経過していたというのが驚きだった。

例えばポケモンが放送されていない国からドイツへやってきた人は、ポケモンなどをドイツのものと思うかもしれない。その人たちが例えば、今ドイツで流行っているポケモングッズをお土産などで彼らの国に持って帰ったとしたら、ポケモンは日本だけのものでなく、さらに色々な国を経過してきたことになる。色々な国で数ヶ月後、数年後ピカチュウはどんなふうになっているだろうか。

漫画

漫画ドラゴンボール
左がフランスで、右がドイツで発売されているもの

(2000年10月29日)

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