やまねこの物語

日記 聖金曜日のコンサート

この日記は「復活祭」「バッハフェスト」関連です。

2001年4月13日金曜日は聖金曜日 Karfreitag 、つまり復活祭直前の金曜日で祝日だ。僕は昨年と同様、ミュンヘンのガスタイクへミュンヘン・バッハ合唱団とそのオーケストラによる「マタイ受難曲」を友人と一緒に聴きに行った。先日までは桜が咲く暖かい日が続いていたのに、このところは天候が悪く、当日13日は風の強い寒い一日だった。そのような中、僕は会場へ向かったのだが、今年は昨年よりも人が多いらしく、当日券売り場にはかなりの行列が出来、また会場の前には「チケット買います」という紙を持った人が大勢いた。というのは今回のこの「マタイ受難曲」コンサートで、ミュンヘン・バッハ合唱団の指揮を長年務めておられる、ハンス・マルティン・シュナイト Hanns Martin Schneidt 氏がこの合唱団の常任指揮を引退されるからだ。引退発表については2月、色々な新聞で取り上げられていた。

僕は友人にチケットを買ってもらっていたので、そのまま中に入ったのだが、今回は記念(?)にパンフレットを購入している人が多いのか僕が買いに行ったところ2箇所は既に売り切れていた。3箇所目でようやく手にすることが出来た。でもパンフレット自体はコンサート終了後にも売られていたようだが。それで僕は会場に入ったのだが、この日は文字通り満席だった。録画や録音もされているようで大きなカメラも目に付く。観客席に目を移すと日本人と思われる人の姿も結構目に入る。聞いたところによると、今回はシュナイト氏最後のミュンヘン・バッハ合唱団指揮ということで日本のシュナイト・バッハ合唱団の方々も来ておられるようだった。

もうそろそろ開演時間だ。合唱の人達、少年合唱団、オーケストラの人、ソリストの人と順番に入場してきて最後にシュナイト氏が入場された。あたりが若干暗くなり、演奏が始まった。イエス役と福音者役は昨年と同じ顔ぶれで非常に上手く歌われていた。今回の演奏会、個人的な感想を正直に書くと、演奏の完成度という点では満点とは言い難いものがあったかもしれない。しかし、演奏の間の緊張感などは言葉に言い表すことが難しいくらいに何かを感じることが出来た。音楽は音のない部分も大切だと改めて感じさせられる。特に一番最後、演奏が終わり指揮者が指揮する手を上でピタッと止めている部分、約10秒かそれ以上、かなり長い間に感じられたが、この間、客席の方も息を止めるようにして舞台に注目していた。会場全体がものすごい緊張感に包まれたようにシーンとした長い間だった。

指揮者が指揮する腕を下に下ろしたとき、会場からはものすごい拍手が一斉に鳴り響いた。当然立ち上がって拍手をしている人もいる。個人的に、演奏会としては非常に満足できるものであった。と同時にこれでシュナイト氏指揮のミュンヘン・バッハ合唱団を聴けなくなると思うと少し悲しいような残念なような気もする。演奏会が終わり、しばらく歩いているとこの時期としては珍しく雪が降っていた。

開演前

開演前
ガスタイクのこのホールには約2400人入ることが出来る

 

開演前の舞台

開演前の舞台
これからソリストが入場してくる 

 

演奏終了後

演奏終了後
花束を贈呈されるシュナイト氏

 

舞台を回られるシュナイト氏

舞台を回られるシュナイト氏
写真左上にカメラが見える

 

演奏後の挨拶

演奏後の挨拶

 

演奏後

演奏後

 

(2001年04月14日)

 

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