やまねこの物語

日記 バイエルン語

先日12月1日はバイエルン憲法が採択されて55周年だったらしい。先日からテレビでもそれ関連の放送が幾つかあった。55年前、つまり1946年バイエルン憲法が制定されたということだ。ドイツは連邦制で幾つかの州から成り立っている。バイエルンは中でも独特の地域で、昔からベルリンなどプロイセンへの対抗心も強く、例えば第二次世界大戦後、旧西ドイツの憲法制定の際、「プロイセン中心のドイツ連邦(西ドイツ)」を議会で拒否した唯一の州であったりする。プロイセンとバイエルン、宗教的にも違うのでその育った文化なども違う。

僕は北ドイツには一度も行ったことがないので何とも言えないが、個人的にはバイエルンの文化などが好きだ。バイエルン人はバイエルンということに誇りを持っているような気がする。バイエルン人がその独自性に誇りをもっているということに対し、北ドイツ、例えばベルリンの人はバイエルン人を単に田舎者と感じているらしい。何故北ドイツの人がバイエルンを田舎と思うか。その答えの一つに言葉が挙げられる。日本同様ドイツにも色々な方言がある。中でもバイエルン語は非常に訛っているらしい。人から聞いたことでは、言葉が訛っている地域はドイツにも数多くあるが、ほとんどの地域では、それを話す人がその言葉を方言だと知っているらしい。それに対してバイエルン人は自分の言葉が標準語、つまり全国どこでも通じると思っている人が多いと聞いた。

というのは例えば連邦議会や全国会議のとき、普段日常では方言を話す人でも、その会議の間は全国で通じる、いわゆる標準語で話すらしいが、バイエルンの人はそういった時でさえ、自分の言葉を使うと聞いたことがある。標準語で質問されてもバイエルン語で答えるのだ。答える方にとっては標準語の方が訛っているのだ。バイエルン人にとってはバイエルン語が標準語ということだそうだ。この例、そういえば僕がドイツで購入したドイツ語の会話集でもよく似たものがあった。バイエルン人ツアー客がハンブルクに行くのだが、ハンブルクの人とバイエルンの人では全く話が通じない。バイエルン人ツアー客は怒って「ここはドイツじゃない!」と言って何処かに行くというものがあった。

北ドイツと南ドイツ、よく言葉の違いで言われるのは最初の挨拶だ。日本の大学や日本で売られているドイツ語会話集など、そのほとんどで「こんにちは」は「グーテンターク」と紹介されている。が、南ドイツやオーストリアでは「グリュースゴット」が一般的だ。実際ミュンヘンで僕は「グーテンターク」というのをあまり耳にしたことがないし、自分も使うことはない。(といってもニュースやラジオではよく聞くが。)南ドイツの中で話されるバイエルン語も地域によってかなり違うらしい。例えばミュンヘンとすぐ近くのアウグスブルクでも言葉は大きく違うと聞いた。バイエルン内にも幾つも方言があるらしいが、ミュンヘンで話される言葉が一般的にバイエルン語というものを代表しているようだ。バイエルンが寒い地域のためかどうか僕は分からないが、バイエルン語は口を大きく開けないでモゴモゴといった感じに話す言葉だ。

ところで僕がミュンヘンに来たとき、本屋で面白い本を見つけた。「バイエルンを旅行するドイツ人のためのバイエルン語会話集」というものである。この本を僕は早速購入し、北ドイツ出身の人に見せると大変面白がっていた。全く分からないと。例えば、日本人同士が電車の中で会ったとき、「よぉ!元気か?」みたいな会話がなされる。ドイツ語では「ハロー!ヴィーゲーツ?」と聞く。それがバイエルン語になると「ヘッ!ヴィアゲヅ?」となる。北ドイツの人にとってはこのような発音が非常に新鮮だったらしい。といっても実際に僕は街中で「ヘッ!」と挨拶している人を見たこともないが。バイエルン語に関して、僕は綴りが面白いと思った。「Ich bin Tourist」とドイツ語で書くのに対し、バイエルン語では「I bi a Durisd」となる。一見するとよく似ているが、ドイツ語以上に英語に似ている気がする。英語とドイツ語、バイエルン語が元々は同じ言語というのが想像できる。色々な地方でその地方独特の話し方が現在に続いているようだ。

会話集にあるようなバイエルン語、希であるが時々聞くときがある。以前日記にも書いた「結婚パーティー」に招待していただいたときも、新郎側のご両親は完全な?バイエルン語を話されていた。一般的な標準ドイツ語も理解されているようだが、話すことは出来ないようだった。バイエルンで生活していくにはドイツ語だけでなく、バイエルン語も理解できると生活はもっと面白くなるような気がする。例えばレストランでもバイエルン表記のところもあるし、ビアホールなどで現地の人とも色々話せそうだ。ところで、話は最初に戻るが、先日55周年になったバイエルン憲法も、やはりバイエルン語で書かれてあるのだろうか気になるところである。

(おまけ)ところでところで、最近、地下鉄の駅などで以下のような看板があります。大きくバイエルン語でかかれてあり、下にドイツ語で訳が書かれてあります。

看板

バイエルン語の看板

 

看板

バイエルン語の看板

 

看板

バイエルン語の看板

 

 

(2001年12月05日)

 

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