2002年6月8日(土)9日(日)、第844回ミュンヘン市創設記念祭が市の中心マリエン広場からオデオン広場にかけて行われた。これらの広場ではステージが設けられコンサートなどが行われている。初日土曜日は10時から23時まで、日曜日は11時から21時50分まで前述の場所以外に新市庁舎裏のマリエンホーフやテアティーナ通り、レジデンツ通り、ワイン通りなどで行われた。土曜日は天候に恵まれていたが日曜日は曇り。この祭りと同時に新市庁舎中庭ではワインフェストが、レジデンツでも別のワインフェストが催されていた。またその他日曜日だけだが同じ中庭でオペラも催されていたようだ。この祭りについては以前の日記『ミュンヘン市創設記念祭』を参照していただければ、その雰囲気が分かると思うのでここでは別の話題を。
この祭りを回っていると「中世」という単語が目に付く。新市庁舎裏のマリエンホーフでは「中世のキャンプ生活」という名の催しがあった。またオデオン広場では中世から受け継がれている様々な職人の技術を見ることが出来た。ここでは「手工業職人の村」として色々な実演があった。例えば屋根葺き職人、電気技師、ガス・水道管配管工、金銀細工士、煙突掃除夫、ペンキ職人、毛皮加工職人、洋裁師、皮革職人、家具職人、板金工、大工など。それら中世から続く職人技を実演していた。
ここではそれぞれの実演を間近で見ることが出来る。普段そういったものを近くで見ることが出来ない人にとっては非常に良い機会だ。子供も職人の行動を真剣な眼差しで見つめていたり、時には質問したりしている。そこから新たな職人が生まれるかも知れない。また大人もそれらを間近に見て改めてそういった人々に敬意を払ういい機会になる。
昔からの伝統に敬意を払い、またそこから新たな職人が生まれ後世にその技術が伝えられていくというのは素晴らしいことだ。この催しがあるミュンヘン市創設記念祭、つまり市の誕生日は単にその日をお祝いするだけでなく、それまでの伝統に感謝する日でもある。
そういえば中世といえばワイン通りのところに一軒のお店があった。そこでは中世の料理を出している。料理といっても、どちらかといえばお菓子だが、特にニワトコという植物を揚げたもの、まるでそれは天ぷらのようだったが、それが特に人気で行列が出来ていた。このお店は他にも幾つかの揚げ物を売っていたが、それらも中世からの伝統に基づくものであったようだ。
ところで行列が出来るお店といえば、オデオン広場に毎年出るバウムクーヘン屋も非常に人気がある。その場で焼いたバウムクーヘンを小さく切り、チョコレートやホワイトチョコでコーティングして(していないのもある)売っている。バウムクーヘンといえばドイツを代表するお菓子だが、現在はどちらかというと少し高級菓子の部類に入るそうだ。バウムクーヘンがいつから作られたか僕には分からないが、伝統の味と技術を、何重にもなるその切り株模様のように、これからも末永く伝えていって欲しいと思う。
|