やまねこの物語

日記 OPEN AIR KINO

先日友人たちから映画に誘われた。ミュンヘン・ケーニヒ広場においてオープンエアーで映画が上映されるとのこと。街中に貼られたポスターでそのことは知っていたが、今まで一度も見たことがなかったので僕は誘いを受け、途中ピザを購入してケーニヒ広場に向かった。そういえばここでは先日、屋外オペラが催された。ヴェルディの「アイーダ」が本物の象を使って演奏されたのだ。僕は観に行くことが出来なかったのだが、近くで聴いていた友人によるとかなりの迫力だったらしい。

話は戻って、会場であるケーニヒ広場入り口でチケットを購入し(芝生の上6.50オイロ)、会場に入ったが、人がものすごく多くてなかなか友人たちを見付けることが出来なかった。何とか友人たちを見付け、適当に芝生の上にシートを拡げて座った。時間は既に夜9時を回っていたが、日が長いので、映画は当分始まりそうもなく、日が暮れて10時10分頃ようやく、メインの映画が上映された。

映画といえば、先日ニュースでドイツの女流映画監督レニ・リーフェンシュタールが2002年8月22日に100歳の誕生日を迎えると報道されていた。それを記念してドイツ・フランスの放送局(ARTE)で特別番組が組まれ、また48年ぶりに新作『Impressionen unter Wasser』が公開された。彼女は第三帝国期にナチスの映像を録ったということで「ナチス協力者」として戦後はまともな創作活動をすることが出来なかった。

具体的には1934年9月4-10日にニュルンベルクで行われた第六回ナチス全国党大会(スローガンは『統一と力の党大会』)を撮影し、それを『意志の勝利』として発表した。彼女が32歳の時のこの作品はナチズムを美化する強い刺激的な影響を力を持ち、現在のドイツでは上映が禁止されている。1935年4月5日ドイツ全土で封切られたこの作品は数々の賞を受賞した(1935年ドイツ国家映画大賞、1936年イタリア映画大賞、1937年パリ国際博覧会で金賞を受賞)。また1936年8月1-16日に開催された第11回夏季オリンピック・ベルリン大会の模様を撮影編集した記録映画『オリンピア』(第一部「民族の祭典」、第二部「美の祭典」からなる。ヴェネチア映画祭金賞受賞)も彼女の作品として知られる。

当時、ドイツ全土で封切られたそれらの映像は、当然ミュンヘンでも上映されたと思うが、ケーニヒ広場で上映されたかどうか僕自身には分からない。しかし当時の色々な映像や写真を見ていると、このケーニヒ広場では様々な催しが行われていたようだ。パレードや式典、また反ナチズムの書物などの焼却などもここで行われた。この広場はもともとバイエルン王ルートヴィヒ1世の時代に造営された。この場所にはプロピュレーエン(古代ギリシャ神殿柱廊門)、彫刻美術館(グリプトテーク)、古代美術博物館などギリシャ風の建築が並ぶ。王はそれらの完成を非常に楽しみにし、建設中もここに椅子を持ってきてその模様を時間が許す限り見ていたようだ。

王ルートヴィヒ1世が非常に気に入っていたケーニヒ広場での、オープンエアーの映画は日付が変わった午前0時半頃終わったが、映画の上映中は、スクリーン上のものがあたかも自分たちの前に実在すると言った感じに、数カ所に置かれたスピーカーからかなりの音が響いていた。広場を縦横無尽に飛び回る『蜘蛛男』を王はどう思っただろうか。

映画上映前

映画上映前
コマーシャル中

映画上映直前

映画上映直前
 

映画が始まる前の古代美術博物館

映画が始まる前の古代美術博物館
階段に座っている人も多い

映画が始まる前のグリプトテーク

映画が始まる前のグリプトテーク

(2002年08月18日)

 

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