やまねこの物語

おでかけ ドイツ・ゼーオン〜ヴァッサーブルク

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2006年5月下旬

 

    ヴァッサーブルクは正式にはヴァッサーブルク・アム・インという名前で、イン川側のヴァッサーブルクという意味である。このヴァッサーブルクの場所でイン川が大きく曲線を描いており、まるで半島のようになっている。ヴァッサーブルクの街は1137年に文書でその存在が確認されている。1247年にはバイエルン大公ルートヴィヒ(後の大公ルートヴィヒ2世厳格公)がこの地を治めることになり、そこからヴィッテルスバッハ家による統治が始まった。

    この地はイン川を行く塩の交易によって繁栄した。イン川の対岸から街を見ると、街はまるで要塞のようにも見え、特にローテ・ブリュッケの先にあるブルック門が強固な砦の入口を思い浮かばせた。また街中を歩いてみると、立派な建物が多く、如何にこの街が裕福だったか分かる。それだけ塩の交易は重要だったのだろう。1876年にこの地方に鉄道が開通してから、イン川を使った船の交易は次第に廃れていき、ヴァッサーブルクを経由しない鉄道輸送に切り替わった。時代の流れと言えるが、それから交易におけるヴァッサーブルクの重要性が無くなっていく。しかし言い換えれば、そこで街の発展が止まってしまったのなら、それだけ文化財的建築が多く残されていると言うことである。

    既にここを訪れたことがある知人の方に街中を案内して頂いた。今回の小旅行ではお世話になり本当に感謝である。ヴァッサーブルクの街中では雨が降っていた。傘を差して歩いた。通りにはオープンカフェも出ていたので、それまで強い雨は降っていなかったのだろう。聖ヤコブ教会、聖母教会ともに格子が閉まっており、礼拝堂の中には入れなかったが、それでも格子の間から中を覗くと、そこからも街の裕福さが窺い知れた。

    ところでこの街を歩いていると、ヴァッサーブルクの紋章を何度も目にした。それと同じくバイエルンの紋章も良く目にする。大公や選帝候などヴィッテルスバッハ家の名前を目にする機会も多く、またミュンヘンで活躍したヨハン・バプティスト・ツィンマーマンが手がけた建物があるなど、ヴァッサーブルクとミュンヘンの強い結びつきが感じられる。バイエルンにおいてそれだけこの街は重要な位置付けにあったと分かる。今現在、人口約12.500人(2005年6月)のヴァッサーブルクの街は、バイエルンの他の街に比べるとそれほど馴染みがないように感じられる。電車で直接市内に行けないと言うことも影響しているだろう(バスを利用)。しかし言い換えれば、そういったところにはまだ人に知られていない魅力が多いにあると言える。こういった街を時間をかけて回ってみるのも面白いに違いない。ミュンヘンへの帰りも雨だった。それは眠っている歴史を呼び起こそうとしているような雨に感じられた。(2006年5月下旬、ドイツ・ゼーオン〜ヴァッサーブルク編完)

イン川
イン川

イン川と増水の記録
イン川と増水の記録

「赤い橋(ローテ・ブリュッケ)」
イン川と「赤い橋(ローテ・ブリュッケ)」


 

「赤い橋(ローテ・ブリュッケ)」
「赤い橋(ローテ・ブリュッケ)」
1338年に木造で建築されたが、
増水などで幾度も被害を受けている。
現在の橋は1929年に建設されたもの。

ブルック門
ブルック門
1374年に建設され、その後何度も改築された。


 

ブルック門
ブルック門
フレスコ画は1568年に描かれた。
甲冑に身を包んだ男性がそれぞれバイエルン、ヴァッサーブルクの
旗を手にしている。中央には鷲に乗るジュピターが描かれ、
その上にヴァッサーブルクの紋章が描かれている。

ブルック門
ブルック門

「赤い橋」とブルック門
「赤い橋」とブルック門

「赤い橋」の聖人像
「赤い橋」の聖人像

ヴァッサーブルクの街を望む
ヴァッサーブルクの街を望む

ヴァッサーブルクの街を望む
ヴァッサーブルクの街を望む
 

ヴァッサーブルクの街を望む
ヴァッサーブルクの街を望む
川岸が土手になっているのは、昔、馬で船を引かせたため。

ヴァッサーブルクの街を望む
ヴァッサーブルクの街を望む

ブルック門
ブルック門

ブルック門内側
ブルック門内側

聖霊教会入り口
聖霊教会入り口
1338年に建設。その後何度も改築された。

アルテス・マウトハウス
アルテス・マウトハウス
かつての税関。

ヴァッサーブルク
ヴァッサーブルク
大公の居城。1085年に建設され、
1531-1537年、大公ヴィルヘルム4世によって
建て替えられ、現在の姿になった。

市庁舎
市庁舎
1252年に最初の市庁舎が建設されるが、
1339年の大火で焼失。1457-1459年、後期ゴシック様式で
現在の市庁舎が建設された。

市庁舎
市庁舎
ヴァッサーブルクの紋章が描かれている。

市庁舎
市庁舎

市庁舎入り口
市庁舎入り口

聖母教会
聖母教会
1324年に建設された市で最も古い教会建築。
1753年、バロック様式で改装された。
塔の高さは65メートルで、かつては監視塔の役割があった。

聖母教会フレスコ画装飾
聖母教会フレスコ画装飾

聖母教会の塔にある紋章
聖母教会の塔にある紋章

聖母教会礼拝堂
聖母教会礼拝堂
 主祭壇のマリア像は1420年頃、ゴシック様式で作られた。

聖母教会礼拝堂天井
聖母教会礼拝堂天井

マリア薬局にあるマリア像
マリア薬局にあるマリア像

マリア噴水のマリア像
マリア噴水のマリア像

街並み
街並み

街並み
街並み

街並み
街並み

聖ヤコブ教会
聖ヤコブ教会
1410年に建設された。

聖ヤコブ教会入り口上部
聖ヤコブ教会入り口上部
 

聖ヤコブ教会礼拝堂
聖ヤコブ教会礼拝堂

聖ヤコブ教会フレスコ画装飾
聖ヤコブ教会フレスコ画装飾

ケルンハウス
ケルンハウス
都市貴族ケルン家の家。1738年、ミュンヘンの宮廷装飾家
ヨハン・バプティスト・ツィンマーマンによてロココ装飾がなされた。 

ケルンハウス装飾
ケルンハウス装飾

 

ケルンハウス装飾
ケルンハウス装飾

街並み
街並み 

マックス・エマヌエル礼拝堂
マックス・エマヌエル礼拝堂
1716年、バイエルン選帝候マックス・エマヌエルのために建設された。

マックス・エマヌエル礼拝堂
マックス・エマヌエル礼拝堂
バイエルンとヴァッサーブルクの紋章が見える。

 

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