やまねこの物語

おでかけ オーストリア・リンツ

旅の目的

時期

オペラ鑑賞

2001年6月上旬

 

    Linz オーストリア・リンツと聞いて何を思い浮かべるだろう。正直なところ、僕にはアドルフ・ヒトラーの故郷という以外にあまり思い浮かばない。が、この街の売りは音楽家ブルックナーの街、モーツァルトの「リンツ交響曲」など音楽を中心とした芸術の街である。それゆえヒトラーは愛するこの街をさらなる芸術の街に、また世界中の美術品を展示する世界美術館の建設を計画していた。とにかくリンツは芸術の街というわけである。リンツはオーバーエステライヒ州の州都で人口約20万人。ウィーン、グラーツに次ぐオーストリア第三の都市でドナウ川沿いにある工業都市。

    いうわけで僕の旅行が始まった。目的はオペラ鑑賞。というのは友人(正確には友人の友人)がリンツにある州立劇場オペラ「魔弾の射手」に出演するということで、それを聴きに行ったというわけである。で、考えてみれば僕は今まで一度も一人でドイツ国外に行ったことがない。日本へ一時帰国する際に乗り換えで出たことはあるものの、今回のような旅で出たことはなかった。ミュンヘンからリンツへはEC(ヨーロッパ都市間超特急)を利用して乗り換えなしで約3時間後には現地に着くことが出来る。僕が着いた日は快晴だったのだが聞いたところによると、僕が行く数日前から寒くなり、僕が到着する前日は正午の気温が3度ということだった。

    ECは途中オーストリア・ザルツブルクに停車するが別に国境審査も何もなく、パスポートも一度も見せる必要がなかった。本を読んでいるうちにあっという間にリンツに着いた。とりあえず予約しておいたホテルに向かおうと街の中心、Hauptplatz ハウプトプラッツへ路面電車で行くことにする。お金は駅に着いたときにオーストリア・シリングを若干おろしておいた。が、切符をどうやって買えばいいか分からない。自動券売機とにらめっこしていると、親切なおじさんが声をかけてくれた。このおじさんは訛りのあるドイツ語で切符の買い方を親切に教えてくれた。それでおじさんはそこに来た路面電車に乗っていった。僕が切符を買おうとしていると、路面電車から運転手の人が降りてきて、ハウプトプラッツへの行き方と切符の買い方を丁寧に教えてくれた。どうやら先ほどのおじさんが運転手に僕が困っているということを言ってくれたようだ。リンツの人は、なんて親切なんだ!と感動しながら電車に乗り無事ハウプトプラッツへたどり着くことが出来た。

ハウプトプラッツ
 ハウプトプラッツ
中部ヨーロッパ最大の広場の一つ
中央の三位一体の柱はペストや戦火を克服したことを
神に感謝するために作られたバロック様式の柱
ここの広場にはバロックやロココ様式の建物が多い

街灯
ハウプトプラッツにある街灯
街灯の上に花があって綺麗

    テルについてチェックインをしたのだが、部屋に入るとアンティークな調度品でそろえられた綺麗な部屋だったのでちょっと驚いてしまった。家具はちゃんと使えるようだ。今までもアンティークな家具が置かれたホテルに泊まったことはあるが、ちゃんと戸が閉まるものはそう多くなかった。で、オペラまでまだ時間があるので、とりあえず昼食を取ることにしたのだが、ちょうどホテルの横が日本食レストランになっていた。「うどん・すし」と書かれた暖簾が表にかかっていて、値段もそう高くない。聞こえてくる音楽も日本の音楽がかかっている。それで何となくお店に入ってしまった。中の雰囲気は結構日本ぽい。外国人のお客さんがいっぱいいて、それなりに流行っているようだ。が、お店の人は全て中国人か、東南アジアの人といった感じだった。鉄板焼きのメニューがあり、その中のものを注文したが、まず始めに味噌汁が出てきた。でもお箸ではなくて中華スープなどを飲むときに使うレンゲが付いてきた。レンゲで味噌汁を「飲む」のは変に思ったのでお箸を持ってきてもらった。それに前菜として味噌汁を全部始めに食するのも少々抵抗があったが、全部飲まないとメインのものが出てこないような雰囲気だったので全部飲んだ。メインの料理の味は何処か違う。醤油の味付けが違う。「日本食」と考えれば味はおかしいが、そう考えなければそう問題なかったように思う。

ホテルの部屋
 ホテルの部屋
アンティークな家具が置かれてあった

旧市庁舎
旧市庁舎(ピンク色の建物)
ここに案内所がある

    食後、まずハウプトプラッツにある旅行案内所へリンツ市のガイドと地図をもらいに行った。案内所は旧市庁舎の中に入っている。無事それらを入手して近くの教会から見学を始めた。リンツには観るべき教会がかなりありそうだ。僕の心は躍りまくっている。まずは近くにあるリンツ最大のバロック教会、旧大聖堂へ向かった。僕は教会建築にかなり関心があるので、教会入り口のドアを開けるのはいつも楽しみだ。中が一体どのようになっているかワクワクする。宗教という点からではなく建築という点からいつも教会を観ているのだ。旧大聖堂の場所はすぐに分かった。まずは外観の写真を撮ろうと試みたが路地が狭く、また教会が巨大なため写真には全部入らなかった。が、やまねこ、リンツ初教会ということで足を一歩踏み入れた。

旧大聖堂
 旧大聖堂
ハウプトプラッツから見た旧大聖堂(後ろの2本の塔)

ブルックナーの碑
ブルックナーの碑

    大聖堂、正確にはイエズス会の聖イグナティウス教会(1669-1678年建設)というようだ。1856-68年の13年間、ブルックナーがここのオルガニストを務めていたようで、教会入り口にはその碑がある。で、足を踏み入れた教会の第一印象は思った以上に小さいということだ。大きさ自体は確かに大きい。でも小さい。個人的に目を引いたのは入り口近くにある聖水の彫像、説教壇、礼拝堂の椅子だ。聖水の彫像はあまりミュンヘンでは見かけたことがない。説教壇の方はドイツ・パッサウの教会などで見られる真っ黒のものだ。これもミュンヘンでは見かけられない。礼拝堂の椅子は全て手彫りのようで同じデザインだが若干形が違っている。内陣内の木彫りの椅子も目を引いた。ぐるっと回ってみると小祭壇の上などにも天使がいる。なるほど〜と自分でも訳が分からないが何かに納得してしまった。というわけで僕のリンツ初教会は終わった。

旧大聖堂礼拝堂
 旧大聖堂

聖水の彫像
聖水の彫像

旧大聖堂礼拝堂の椅子
 旧大聖堂礼拝堂の椅子
全て手彫りのようだ

マリア像
 マリア像

 

 

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