やまねこの物語

おでかけ オットーボイレン

旅の目的

時期

観光

2005年11月下旬

 

    礼拝堂の中は空気が澄んでいるといった印象で、その空間がヒンヤリと冷たく感じられる。これは石の冷たさといった感じだ。教会から外に出ると、外は少し風があって、礼拝堂の中と比べると随分冷たい。礼拝堂の中が石の冷たさだったのに対し、外は土の冷たさが感じられる。そして雪の積もった白色の世界が一層そう感じさせた。

    時計の針は午後1時頃を指していたので、昼食を取ることにし、お店の前にその日のメニューが置いてある所に入った。田舎なので、お店を選べる程に選択肢があるわけではない。そのお店はイタリア料理のお店だったが、メニューを見ると比較的値段が安い。このお店が特別安いのかも知れない。しかし飲み物代も安かったので、ミュンヘンとオットーボイレンの物価の違いと考えた方が良いだろう。

    食事のあと、車に乗り、ミュンヘンに戻ることになった。その途中にフュルステンフェルト修道院教会に寄ることにした。別の教会を見ようと言う案もあったのだが、実はこの日の夜、バイエルン州立歌劇場でコンサートがあったので、それまでに帰らなければならなかった。フュルステンフェルト修道院教会はミュンヘンへ帰る途中にある。その教会へ向かう途中、バロック様式の聖ラッソ巡礼教会に立ち寄って礼拝堂を少し覗いた後、フュルステンフェルト修道院教会に辿り着いた。僕が以前初めてこの教会を訪れたときは、修道院側の駐車場などが整備されていなかったが、現在は整備され、車で訪れる人にとっても教会が見学しやすくなっている。その駐車場に車を止め、教会に向かった。風が随分と冷たくなっている。

    教会の外観はオットーボイレンの教会よりもシンプルだが、その分、重厚さが感じられる。教会入り口の扉を開けて建物の中に足を踏み入れた。そこは玄関ホールのような部分で、そこと礼拝堂は格子によって仕切られている。格子の隙間から礼拝堂が見えるが、既に夕方になっていたので礼拝堂の中は薄暗く、既に礼拝堂の中には入れないのかと思われた。しかしよく見てみると格子の扉も開いており、礼拝堂の中に入ることが出来た。礼拝堂の建物に比べて人が随分と小さく見えるので、格子から礼拝堂を見たときはその薄暗さも手伝って、中に人がいるとは直ぐに認識出来なかった。

    この教会はヴィッテルスバッハ家の宮廷教会で、非常に派手に作られている。礼拝堂内は薄暗かったが、それでも教会の派手さ、豪華さが感じられた。この礼拝堂の中はピンク色を基調にしているように感じられるので、それが派手さを演出しているのかも知れない。そして礼拝堂を見た後、修道院直ぐ側にあるヴィントボイテル(ドイツ風シュークリーム)のお店に向かった。

    お店の前に立つと、お店の持つ雰囲気が暗く感じられ、入るのに少し躊躇したが、外気の冷たさが背中を押した。店内に入ると、既にクリスマスの飾り付けがなされてある。温かい店内がより温かく感じられた。このお店のヴィントボイテルは一つがお皿に載ってくるだけであるが、ボリュームがあって食べ応えがある。このお店のヴィントボイテルは有名なのか、周りのテーブルでもそれを食べている人がいた。ドイツではシュークリームをあまり見かけないので、それを専門に出すお店というのは珍しいかも知れない。

    美味しいヴィントボイテルをいただいたあと、ミュンヘンに戻ることにした。ここからは直ぐである。市内に近づくにつれ、積もった雪の量が少なくなっていくのが分かった。時間はまだそれほど遅くないが、車はヘッドライトを付けなければならない程暗くなっている。冬時間になると本当に日が暮れるのが早い。この日はバロック様式の教会を3つ見ることが出来、中でも今まで見たいと思っていたオットーボイレンの教会を見ることが出来て嬉しかった。連れて行ってくださった知人の方に感謝である。何れの教会も写真で見るよりも迫力があって、写真では上手く伝わらない芸術以外の部分、つまり祈りの場所としての教会を感じることが出来た。礼拝堂の中の音の響き、近くにあって遠くにある聖遺物、肌に触れる教会の空気、視覚だけでは感じることの出来ない、そういったものが全身全霊で感じられた。これこそが教会という場所かも知れない。オットーボイレンの教会を出て、外に立つ建築家ヨハン・ミヒャエル・フィッシャーの記念碑を目にしたとき、教会が単なる箱ではないと言うことが強く感じられた。

ヨハン・ミヒャエル・フィッシャーの碑
ヨハン・ミヒャエル・フィッシャーの碑
1966年5月6日、彼の没200年を記念して立てられた。
 

雪と赤い実
雪と赤い実

聖ラッソ巡礼教会
聖ラッソ巡礼教会

フュルステンフェルト修道院教会
フュルステンフェルト修道院教会

ヴィントボイテルのお店
ヴィントボイテルのお店

ヴィントボイテル
ヴィントボイテル

    追記

    知人の方に家の近くまで送っていただき、服を着替えて歌劇場の方へと向かった。この日は Renée Fleming のリートのコンサートだった。リートのコンサートと言うよりはアリアのコンサートのような盛り上がりがあったが、楽しむことが出来た。

コンサート後の挨拶
コンサート後の挨拶
伴奏は Hartmut Höll。
 

サインと写真
サインと Renée Fleming
公演後サインをいただき、一緒に写真を撮って頂いた。
 

 

戻る

 

menu
「おでかけ」のトップに戻る