聖レミ教会の裏手に回ると丘に登る小さな小径が見える。その道を登っていくと、あっという間に街が下に見えた。先程の聖レミ教会の塔も下に見える。それだけ坂道が急なのだろう。息を切らせながら登っていくと、石垣が見えてきた。そのまま更に進むと現在は廃墟となっている砦、ブルク城が見えてくる。
                     ブルク城は11世紀の後半か12世紀の前半に、司教ベルトラム・フォン・メッスによって建てられたとされる。その後幾度も所有者が代わり、その度に改築、拡張がなされ、街の城壁と結ばれるようになった。1437年には塔が築かれるが、1634年フランス軍によって破壊が命じられる。その後1891年に現在の高さ28メートルの塔が建てられた(先端が海抜328メートル)。 
                    塔の周りを回ってみると、ドイツ語による碑があった。それはこれまでの所有者を示すもので、そこから年代と共に幾つかの名前が読みとれる。それだけ所有者が何度も替わっていると言うことだが、言い換えればそれだけこの地が重要地であったとも言える。そして重要地ゆえに強固に作られているのが塔周辺を見れば分かる。窓は鉄格子がなされ、また重厚ある鉄の扉は鍵穴が何処にあるか分からないようなものになっている。
  
                    ブルク城が建つ小高い丘の上には、それまで頑張って急な坂道を登ってきたことを労うように、穏やか風が吹いていて気持ちが良かったが、期待していた丘の上からの景色というのは楽しむことが出来なかった。大きな木々が視界を遮っている。塔の上に登ることが出来れば良かったのだが、閉まっていて登ることは出来なかった(一般に上に登れるかは不明だが)。塔の上からは梺に拡がるフォルバッハの街を楽しめるに違いない。 
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