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おでかけ リヒテンシュタイン・ファドゥーツ |
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雨が上がってきたので、ファドゥーツ城まで登ることにした。ファドゥーツ城は現在、リヒテンシュタイン公爵家の居城となっているので内部観光などは一切出来ない。梺にも城への道を案内する看板はあっても、その横に「見学不可」と言ったことが書かれている。しかしその城へ行く途中には展望台があって、そこからの景色は綺麗だと本に書いてあるので登ってみたかった。登り口はホテルの近くにあったのだが、そこは工事がなされていて、地面の一部に大きな穴が掘られている。ここから登ることが出来るか不安な気持ちを抱いていると、上から人が降りてきた。この工事がなされている道で上まで行けるか伺うと、行けるという返事だったので、その工事の箇所を避けながら坂道を登った。 雨上がりの坂道は下が少し濡れていたものの、登りづらいという道ではなかった。民家もあるので、この道を使っている人も多いのだろう。しかし途中からは非常にきつい坂となった。坂がきついと言うよりは自分が疲れたのかも知れない。その疲れた気持ちを知っているかのように、坂道の所々に例えばリヒテンシュタイン公国やファドゥーツに関する説明版が設けられてある。休憩をかねてそれらを読んだ。 展望台が見えてくると意外と元気が出てくる。展望台はもうそこにある。そこからの景色を楽しむために、展望台までの道であえて景色を見ないようにした。展望台に着いた。展望台からは雲に覆われた山々や、先程見たスイスとの国境であるライン川が見えた。上から見てみるとライン川までの距離はそう遠くない。上から市街地方面を見てみると近代的な建物が多く、その街並みを見ただけでは歴史ある街とは、あまり感じることが出来なかった。公爵家が長い間、ここに住んでいなかったのも影響しているかも知れない。それとも公爵家がこの地に移ってきてから(1938年)、近代的に街が出来ていったのだろうか。 ファドゥーツ城は1322年、初めて文書に出てくる。しかし塔は12世紀のものと言うこと。1499年、戦争の煽りを受けて城の一部が崩壊する。その後拡張などがなされ、城は領主の館として、また監獄として、そしてリヒテンシュタイン軍の兵舎として利用されるようになったが、その一部は1896年まで酒場として利用されていた。1905-1912年、公爵ヨハン2世のもと、大改修が行われ、1938年以降はここがリヒテンシュタイン公爵家の居城として使われるようになった。約130の部屋があると言うこと。 近くで見るファドゥーツ城は下から見るより少し小さく感じられた。一見しただけでは警備がされていないように見える。衛兵が立っているわけでもない。「私有地、立ち入り禁止」といった看板があるだけだ。それはドイツ語だけだったが、ドイツ語を知らない人が来たなら、間違えて入ってしまうかも知れない。 城の回りは石畳になっている。それによって車もスピードを出しすぎることはないだろう。車が近づいてくると、その石畳の上を走る音が、まるで遠くで鳴る雷の音のようにも聞こえる。空を見てみると、黒く重そうな雲が近づいてきている。先程よりも雲の流れが速い。足早に梺に降りたが雨は降らなかったので少し散歩をした。天気が良くなかったからか、それとも夕方だったからかメインストリートは人が少なく、子供が遊んでいるだけだった。暫くすると雨が降ってきたので、ホテルに戻って夕食の時間まで日記を付けるなどして過ごした。
夕食は午後8時に予約を入れていた。Y氏のファドゥーツでの目的がここでの食事ということで、自分もかなり期待してレストランに向かった。案内されて席に着く。料理を選んでからワインはどれにするか聞かれたので、「お薦めを」と答えると、地元のリースリングワインが運ばれてきた。このレストランは自身のブドウ畑を持っていて、そこでワインも作っていると言うこと。このワインは口当たりはさっぱりしているものの、後口は少し辛みが残るものだった。 このレストランはもともとカフェとして1921年5月1日に開業した。その後ホテル、レストランになり、公爵家や政治家も利用するようになったとパンフレットにはある。「ミシュラン」「ゴーミヨー」にも載るファドゥーツを代表するレストランと言うことだった。お皿や器にも全てこのお店の名前が入っているのを見て、そういった本に載るというのも頷ける気がした。 暫くして料理が運ばれてきた。自分が注文した料理は、ファドゥーツのリースリングワインを使ったスープとココア付けの子牛の肉料理で、デザートとしてこのお店の名前が付いたもの、これはアイスやムースなどが載ったものだったが、それとカプチーノを頂いた。食事は美味しいと言うだけでは、本当に良い時間を過ごしたと言えないことがある。美味しい料理と楽しい会話などによって、料理は更に美味しいものとなり、より印象深いものになると思うが、ここでの食事はまさしくその通りで、この食事を旅の目的に挙げたY氏には本当に感謝の気持ちが強い。そして翌日の朝食でクロワッサンを目にしたとき、旅での思い出がまた一つ出来たと感じた。(2006年4月上旬、リヒテンシュタイン・ファドゥーツ編完)
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