やまねこの物語

おでかけ ドイツ・ヴァルハラ

旅の目的

時期

観光

2004年10月中旬

 

「明日日曜日、ヴァルハラに行きますが、一緒にどうですか?」友人からそう連絡を受けたのは、時計の針が既に12時を回った後で、正確には「明日」ではなく「今日」になっていた頃だった。いきなりだったので、明日ではなく、翌週でも良いかと伺ったところ、どうしても明日行くという。ヴァルハラはドイツ・レーゲンスブルクからドナウ川を船で行ったところにある神殿の名前である。バイエルン王ルートヴィヒ1世によって建てられたこの建築は、僕が最も見たい建築の一つであったので是非行きたかったのだが、話しが急だった。聞けば、友人はドナウ川の遊覧船会社に電話をし、明日運行しているか聞いたとのこと。この遊覧船は10月下旬まで運行されているもので、この日を逃すともう運行していないかも知れない。そう考えると、やはり明日行かなければ、という気持ちになった。

友人と朝7時過ぎにミュンヘン中央駅で待ち合わせをした。早朝の中央駅は、これからおそらく日帰り旅行に行くであろうと思われる人で一杯で、昼間とそう変わりがないと感じられるほど、活気があるように感じられた。違いといえばあくびをしている人の多さだろうか。日曜早朝の地下鉄は平日ほど本数が多くなく、僕はかなり余裕を持って家を出たのだが、随分と早くに駅に到着してしまった。昨晩はヴァルハラに関して色々と調べていたので、時間的にほとんど眠ることが出来ず、結局ギリギリまで寝ることはせず、シャワーを浴びて眠気を覚ましてそのまま家を出た。約束していた時間頃、友人が手を振りながら姿を見せた。そのままスタンドでコーヒーと朝食を購入して、既にホームに停車しているレーゲンスブルク行きの電車に乗り込んだ。

僕たちが乗った電車は2階建ての車両で、僕たちは2階のテーブルが付いた席に向かい合わせに座った。暫くすると発車の合図もなく静かに電車が動き出した。車内はどちらかといえば空いており、電車の音で他の乗客の会話はほとんど聞こえなかった。朝早くだったので寝ている人も多かったのかも知れない。レーゲンスブルクへは約1時間半で到着出来る。ミュンヘン市内、そしてフライジングを過ぎると非常にのどかな風景が拡がっていた。向かいに座っている友人は、やはり遅くまで起きていたのか「寝る」と一言いって瞼を降ろしてしまった。窓の外に目をやると、天気予報に反して少し晴れ間がのぞいている。予報では雨だった。せめて遊覧船に乗るまでは降らないで欲しい。

友人を起こすまいと、僕は友人が用意してきてくれたガイドブックをパラパラとめくっていた。何度も見たのだろうか、ヴァルハラの載っているページが勝手に開く。そのあと、同じく友人が持ってきた小説を手にした。少しだけだがヴァルハラに関する記述がある。それを目で追いながらも、気付けば友人と窓の外を視線が何度も往復していた。車内アナウンスが「もうすぐレーゲンスブルクに到着」を告げた。向かいに座っていた友人は瞼を閉じていたものの、ほとんど寝られなかったらしい。電車が駅に到着した。

友人が調べてくれた遊覧船の時間まで少し時間があったので、駅構内にあるショッピングセンター方面に向かったが、日曜日だったのでファーストフードのお店も全て閉まっていた。ミュンヘンの中央駅にはかなりの人がいたが、ここレーゲンスブルクの中央駅は観光地にもかかわらず、それほど人はいなかった。レーゲンスブルクで有名なものに「ドームシュパッツェン」と呼ばれる大聖堂の少年合唱隊がある。大聖堂で彼らが参加するミサが午前9時からあるとのことだが、それを聴くためにはもっと早い時間に到着するか宿泊する必要がある。僕たちが駅に到着した時間(午前9時半過ぎ)に大聖堂に向かって行くのは少し遅すぎる。多くの観光客がそれを聴くのが目的で、早朝か前日からこの街にいるなら、僕たちが到着した時間に人が少なくても納得がいく。
 

レーゲンスブルク中央駅
レーゲンスブルク中央駅

駅前マクシミリアン通り
駅前マクシミリアン通り

 

 

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