この日記は「クリスマスマルクト(2000年)」「クリスマスシーズン(2001年)」関連です。
2003年11月27日(木)からミュンヘンではクリスマスマルクトが始まった。昨年12月の僕には非常に多くの時間があり、これまでにないほど遊ぶことが出来たが、今年2003年は逆にこれまでにないほど勉強で忙しかったので、マルクトに行く時間は全くなく、また気分的にもそれどころではなかった。それ故風景もあまり目に入らなかった。気が付けば、いつからか街中ではクリスマスツリー用のモミの木の販売がなされていた。というわけで忙しい日々が続いていたが幾つかのテストなどが終わった12月中旬、少し気持ちに余裕が出来、ようやくマルクトなどを回ってみることが出来た(大学の授業は23日まである)。
今年の冬、ミュンヘンの天候は氷点下になる日が例年より少なく、もちろん寒い日もあったが、最高気温が氷点下というのは未だそれほどない。しかし数センチではあるが雪も積もり、風も非常に冷たかったので気温以上に寒く感じた日が多かった。
ある平日の夕方、幾つかのクリスマスマルクトを回ってみたが、やはり何処も人で一杯であった。特にグリューヴァイン(香料入りのホット赤ワイン、種類も色々とあり、また子供用もある。希に白ワインを使ったものもある)のお店の周りはグリューヴァインを飲む人、注文する人など多くの人が集まっている。クリスマスマルクト=グリューヴァインと言ってもいいくらい、何処のマルクトにもお店があり、多くの人で賑わっている。またカップは返品すればその分の代金が帰ってくるが、そのまま持って帰ることも出来る(お金は返ってこない。またお店に持って帰ると伝えると新しいものに交換してくれたり、割れないよう包装してくれることが多い)。このグリューヴァイン一杯分の値段(飲み物代とカップ代)は街やマルクトによって大きく違うようで、以前僕が訪れたところは、両方込みで1ユーロ、その街では高くても2.5ユーロであったが、ミュンヘンでは大体3.5-6.5ユーロとするので他の街に比べて高いようだ。
またグリューヴァインのカップも街やマルクトによって違い、年によってデザインが変わることもよくある。ミュンヘンのマルクトを覗くと街中心のマリエン広場のマルクトでは今年は15種類ほどのカップがあった。今年のミュンヘンでは色々な団体(自治体)によって(一覧表によると)合計20カ所でクリスマスマルクトが開催されているが、その数を考えるとミュンヘンだけでも少なくともカップは20種類以上はあるのではないだろうか(最大のマルクトはマリエン広場。ただ今年はマリエン広場の地下鉄拡張工事のため一部場所が変更されている)。またマルクトではグリューヴァインの香料も売られており、各自で赤ワインや果物を用意して家庭で楽しむことも出来る。これも幾つか購入したがお店によって味は様々であった。
そういえば寒い中、一人でグリューヴァインを飲んでいると、その場で同じように飲んでいる、おじさんやおばさんに何度か話しかけられた。何処のお店のカップがかわいい、何処のが美味しいといった感じの話だったが、マルクトでグリューヴァインを飲む時は、やはりカップを見てから飲む人が多いのだろうか。
グリューヴァイン以外にクリスマスマルクトらしいものといえば、個人的には蝋燭の明かりを利用するものが思い浮かぶ。陶器で出来た家の中に蝋燭を置いて、その幻想的な雰囲気を楽しむものであるが、間接照明の多いドイツならではのものではないかと思う。(蝋燭ではなく電気で照らすこともある。)
ところでミュンヘンのクリスマスマルクトで伝統のあるマリエン広場やゼントリング門広場のものは他の街のように「Weihnachtsmarkt(ヴァイナハツマルクト=クリスマスマルクト)と呼ばれず正式には「Christkindlmarkt(クリストキンドゥルマルクト)」と呼ばれる。ミュンヘンでマルクトがいつ始められたか正式には定かではないが市の年代記には1310年にそれに関する記述がある。かつてはニコラウスマルクトと呼ばれていたらしく、現在では聖ミヒャエル教会が建っているあたり、当時の街の外側で行われていたとのこと。しかもその期間は12月5日、6日だけであった。ドイツではサンタクロース(聖ニコラウス)は12月6日聖ニコラウスの日にプレゼントを持ってやってくるが、それがニコラウスマルクトの由来となっている。
しかしプロテスタントが普及するに従って、「プレゼントを持ってくるのは聖ニコラウス」という考えから「天使の姿をした子供=クリストキンドゥルがプレゼントを持ってくる」という風に変わり、名称もニコラウスマルクトからクリストキンドゥルマルクトに変わったとのこと。それが現在のようにアドヴェントの期間中開催されるようになったのは、1806年のバイエルン王国成立の時からで、街の中心マリエン広場で開催されるようになったのは1972年からとのこと。意外と新しいのが驚きである。(現在のミュンヘンのマルクトでニコラウスマルクトと呼ばれるのはマングファル広場で開催されるものだけで、期間は(表によると)12月5、6、7日の3日間。)
ところでマリエン広場やゼントリング門広場でのマルクトが伝統的なものであるのに対し、ミュンヒナーフライハイトや
Tollwood のマルクトは、もちろん伝統的なクリスマス関連のものも売られているが、どちらかといえば芸術家が製作したものが店頭に並べられる(特に前者)。手作り故、お願いすれば自分の好みに製作してもらうことも可能だし、値段も交渉して安くしてもらえる。また一品しかないものが多いのでプレゼントに向いているものが多いと思われる。
ニコラウスマルクトの時代から考えると現在は様々なマルクトがあり、また時代と共にその様式などが変化しているのが面白い。クリスマスの時期はツリーや部屋の中を飾ったり、またレープクーヘンなどお菓子を焼いたり、色々なプレゼントを考えたりと一年中で最も各自、能動的、創造的に行動する時期だと思われる。聖ニコラウスにしてもクリストキンドゥルにしてもプレゼントを持ってきてくれるというが、彼らはこの時期、人々に「創造しようとする力」というプレゼントをもたらしているかも知れない。
以下の写真は2003年のものです。
|