| リスト音楽院を訪れた後、ファーストフードのお店で少し休んだ。食べ物を購入した際に言われたことは「トイレに行くには、購入したレシートが必要」と言うことだった。トイレに行くと、入り口前にはカウンターがあり、そこでレシートのチェックがなされていた。客だけが利用して良いということだが、例えば旅行客などがトイレだけを借りに入ってくるのを防ぐためだろう。言い換えれば、それだけブダペストの街にはトイレの数が少ないのかも知れない。
簡単な食事をしていると、友人の携帯が鳴った。ブダペスト在住の日本人の方が市内で引っ越しをして、その引っ越しパーティーをするからどうかというものだった。それで僕もご一緒させていただいた。そこには何人かの日本人の方がおられ、現地の人の話を聞くのは面白かった。そういえばその時、トカイワインを出していただいた。トカイワインと言えば、ドイツのラインガウ産、フランスのソーテルヌ産と並んで世界三大貴腐ワインと言われるもので、その生産には自然環境による様々な条件が揃わなければならない非常に珍しいものである。
トカイ産の貴腐ワインはトカイ・アスーと呼ばれるもので、かつてフランスの太陽王ルイ14世が「ワインの王様にて、王様のワイン」と称したものである。甘さの基準は3から6まであり、数字が大きいほど甘くなる。その時いただいたのは、おそらく3の甘さであったと思われるが、それでも十分に甘い。この香りが高く、黄金色をしたワインは何処で手に入るか伺うと、街中、何処のスーパーでも簡単に手に入ると言うことだった。翌日、スーパーを覗いてみると2種類のトカイ・アスーが売られていた(両者とも甘さは3)。しかも値段がものすごく安い。と言うわけでお土産として購入して帰った。
そういえば余談だが、ブダペストでは日曜日も普通にスーパーが営業していた。曜日によって多少営業時間の違いはあるものの、毎日スーパーが開いているのは非常に便利である。
引っ越しパーティーの方は夜遅くまで続きそうだったので、途中でお暇させていただいたが、楽しい時間だった。その後、そこからそう離れた場所ではなかったので、ドナウ川まで歩いていった。少し風はあったものの、それほど寒くなかった。ドナウ川を挟んで対岸に見る王宮は、非常に存在感がある。またドナウ川の水面に映る鎖橋も美しく、それを見ていると街にとって橋が如何に重要かが感じられた。
そして鎖橋を渡った。ドナウ川の上は風が強く、また通行する車の影響か、橋は少し揺れている気がする。それがまた吊り橋らしい。下を見てみるとドナウが悠々と流れているのが感じられる。まるで吸い込まれそうだ。そのままブダ側まで橋を渡ってドナウ川の対岸を歩いた。対岸にある国会議事堂の堂々した建物が、川に映え、更に重厚さを増しているような気がした。
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