やまねこの物語

おでかけ ドイツ・クルムバッハ

旅の目的

時期

観光

2006年4月中旬

 

    中庭へ続く門をくぐって目にする「美しい中庭(シェーナーホーフ)」は文字通り美しかった。これは1561-68年、カスパー・フィッシャーによって作られたものだが、その建設当時はアーケードにあるマニエリスムの装飾に赤や青、緑と言った様々な色が付いていたとのこと。辺境伯の居城がクルムバッハからバイロイトへ移り、この城は政治的な意味を失ったので、色が落ちていっても修復されなかったのだろうか。個人的には現在の方が落ち着きを感じられると思うが、当時は落ち着きよりも豪華さ、派手さが求められていたのかも知れない。そしてここはナポレオンによって破壊命令が出されるが、それは彼にとって美しい中庭を持ったこのプラッセンブルク城は芸術的な作品ではなく、要塞としての位置付けにあったのだろう。時代によってその位置付けや見方が変わるのは面白い。

    クルムバッハの街やプラッセンブルク城に限ったことではないが、昔から建つ多くの建物が現在は観光名所と位置づけられていることが多い。現在それぞれの建物を見て「いつ、誰が、何のために」建てたかといった知識・情報的なものだけでなく、建築に携わった人達の気持ちを意識すれば、現在目にする建物は廃墟ではなく、実際に人がいた温もりある場所に感じられる。そしてその気持ちがその街の人々のアイデンティティを形成していく。そう考えると、その建築は決して過去のものではなく、現在のものであるとも言える。「美しい中庭」を目にしたとき、一見すると人に忘れられた廃墟のようにも感じられたが、現在多くの人がこの城の姿を守っていることを考えると、その中庭からは力強ささえ感じられた。

「美しい中庭」
「美しい中庭」

「美しい中庭」
「美しい中庭」

「美しい中庭」装飾
「美しい中庭」装飾

「美しい中庭」装飾
「美しい中庭」装飾

「美しい中庭」装飾
「美しい中庭」装飾

「美しい中庭」
「美しい中庭」

「美しい中庭」
「美しい中庭」 

「美しい中庭」
「美しい中庭」

    現在、プラッセンブルク城には州立博物館プラッセンブルクがある。ここは「フランケンのホーエンツォレルン」という名前が付いているが、その名の通りブランデンブルク・クルムバッハ辺境伯領を統治していたホーエンツォレルン家の歴史を紹介している。そしてその一部はフリードリヒ大王の軍事博物館となっており、18世紀当時の武器や旗などが展示されている。

    その州立博物館のチケットを買うとき、売り場にいた女性と少し話したが、彼女は「ここはバイエルンではなくフランケンよ」と何度も言っていたのが印象に残っている。州立博物館はガイドの人が説明して回るフュールングと言うことだった。しかしその時間それに参加したのは自分とS氏の二人だけで、フュールングはまるで個人授業と言った感じだった。ガイドの人の説明は分かりやすく、ブランデンブルク・クルムバッハ辺境伯領やプラッセンブルク城の歴史がそれで良く理解することが出来た。その中で最も印象的だったのは、現在バイエルンにある大手銀行の母体の一つがプロイセン系だったことである。

    またこの州立博物館で感じたのは、この地の歴史はプロイセンやホーエンツォレルン家と強く結びついていると言うこと、そしてチケット売り場の女性が言ったように、この地はバイエルンではなく、独自のアイデンティティを持ったフランケンと言うことだった。フュールングを案内してくれた人も、ホーエンツォレルン家に親近感を抱いているように感じられた。プラッセンブルク城の建物そのものだけを見ている限りでは、この街のアイデンティティなどを感じるのは難しいが、こうやって話を聞くと、城が単なる箱ではなく、魂や歴史がある特別な場所に感じられた。

    またこのフュールングでは写真撮影が禁止されていたのが残念であったが、約一時間のフュールングはあっと言う間に終わった気がした。そのフュールングの最後は城内にある礼拝堂だったが、これはフランケン地方で最も古いプロテスタント礼拝堂の一つと言うこと。現在は同じバイエルンでも、ミュンヘンはカトリックの街であり、クルムバッハはプロテスタントの街である。この二つの街の文化的な違いの一つに宗教が挙げられるかも知れない。

    州立博物館を見た後、昼食を取って、そしてプラッセンブルク城にあるもう一つの博物館、錫人形博物館(1932年オープン)を訪れた。ここには30万体以上のコレクションがあり、その規模は世界最大ということ。またここには約170のジオラマがあるが、その中でも19.500体を使ったものがあり、これは世界で最も大きい錫人形のジオラマである。

大砲
大砲

「美しい中庭」の回廊
「美しい中庭」の回廊
回廊部分はゴシック様式になっているのが面白い。

回廊から見た「美しい中庭」
回廊から見た「美しい中庭」

回廊から見た「美しい中庭」
回廊から見た「美しい中庭」

レストラン
レストラン

頂いた食事
頂いた食事
シュニッツェルとビール。

錫人形博物館
錫人形博物館

錫人形博物館
錫人形博物館

錫人形博物館
錫人形博物館
世界最大のジオラマの一部。

 

 

戻る

進む

menu
「おでかけ」のトップに戻る