おでかけ ドイツ・ケーニヒス湖 |
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お土産屋の続く道を更に歩くと、ケーニヒス湖の湖畔に出た。湖畔には遊覧船乗り場があり、遊覧船を待つ多くの人の姿がそこにはあった。遊覧船のコースは2種類あり、途中にある聖バルトロメー教会までか、最終地点ザレトまで行くものがある。僕たちは後者のコースを選び、船に乗った。 船はゆっくりと進み出した。湖の静けさを守るため、1909年以降、全ての船が電動の船になったとのこと。電動といってもモーター音がうるさいわけでもなく、騒音が少なく環境に配慮されているのが分かる。港で見てみると船の大きさは全長20メートル、幅13.5メートルあり、時速12kmで進むとのこと。船は85人乗りとのことだったが、船内にはそれほど人が入るように感じられなかった。船に乗って暫くすると後方にある「横たわる魔女」の説明があった。振り返ると湖の向こう側の山の姿がそのようになっているのに気付く。自然が作り出すその光景を見て船の中に驚きの声が拡がった。
暫くすると、いきなり船のモーターが止められた。モーター音はそれほどうるさいと感じていたわけではないが、それが止められると湖の上は非常に静かな場所だというのが分かる。全ての音を吸収してしまっているかのような静寂がそこには拡がっていた。そこはエコーの壁と呼ばれる場所で、ここで案内の人(操縦士?)がトランペットを吹き始めた。続けて演奏されるのではなく、一つ一つの旋律毎に間があけられると、それが湖を囲む岩壁にこだまして、非常に透明感のある澄んだ音が返ってくる。そしてその返ってくる音も静寂の中に包み込まれ、その静寂はまるで時間をも止めてしまっているかのように感じられた。 ところで現在はトランペットかフリューゲルホルンが演奏されているが、以前は銃が使われており、その音は7度も反響したとのこと。そういえばここで、湖が非常に穏やかだと気が付いた。音がないのと同じように湖面はほとんど揺れていない。ケーニヒス湖まで来る道沿いにある川が激流であったのと比べると、その差は非常に大きい。
出発した地点から約5kmのところに聖バルトロメー教会の港がある。聖バルトロメー教会は1134年、ケーニヒス湖最初のバジリカとして建設された。元々はロマネスク様式のものであったが、1698-1710年、バロック様式化され、現在のような赤い円屋根が特徴的な教会となる。この教会へは船でしか行くことが出来ず、その横の建物は元々狩猟のための館であった(現在、ここはレストランなどに利用されている)。教会建設が10年以上もかかっているところをみると、その数字から建設が如何に大変だったか分かる。教会は2つの塔を持っているがそれぞれの形が違っていて面白い。また間近で見てみると意外と大きいのに気が付く。 ところで湖から見て教会の後方に標高2713メートルのヴァッツマンがそびえている景色は雄大なものがある。この山はベルヒテスガーデン国立公園で最も高い山で、湖に面したその東側は1800メートルの高さがあり、これは東アルプスの中で最も高い壁であるとのこと。
聖バルトロメー教会の中を覗いた後、その周辺を散歩した。教会は半島部分に建っているとのことだったが、教会の側で見る限りではそれは感じられず、暫く湖畔を歩いて振り返ってみて初めてそれが感じられた。ケーニヒス湖は中欧において唯一のフィヨルド的な湖という説明があったが、湖を望むとそれが分かる。湖は海抜602メートルの地点にあり、全長8km、最大幅1.25kmの大きさで細長い形をしている。もう少し高いところから見れば湖の形を認識出来たかも知れない。ところで教会の近くにはベルヒテスガーデン国立公園に関する情報を展示している建物があり、この地に生息している動植物や周りの山々に関する情報があった。
聖バルトロメー教会周辺を散歩した後、湖の最終地点であるザレトへ向かう船に乗ることにした。 |
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