おでかけ ルクセンブルク |
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リベルト大通りを暫く歩くと、国立貯蓄銀行の建物(1913年建設)が見えてきた。この建物の正面にはアドルフ橋がある。僕が本で見たその橋である。国立貯蓄銀行の建物には大きな塔があって、それがその橋を渡るための監視塔のようにも見える。同時に建物全体が砦といった雰囲気があり、特に逆光の中で見る建物の影は何か圧倒されるものがある。
アドルフ橋は「新しい橋」とも呼ばれ、1900-03年、大公アドルフ1世(1817-1905)の統治期間(1890-1905)に建設された。高さ42mの所に建設された全長153mの橋は、当時世界で最も大きな石橋であった。そのアドルフ橋からの眺めは素晴らしく、橋の下には森があるといった印象を覚えた。実際には渓谷があるのだが、橋の上から見下ろすと、吸い込まれそうな気がして、その高さがより感じられた。ただ、橋の幅がもっと細ければ、橋の上から見る風景は、なお絶景になったかも知れない。時間があれば、谷底に降りて、橋や砲郭を下から眺めてみたかった。見上げれば砲郭のその強固さや橋の高さがより感じられるに違いない。この日はザールブリュッケンに戻るバスが午後6時が最終で、そのバスの時間に合わせて街を散策することにしていた。次回ルクセンブルクを訪れたときの楽しみ、目的が一つ出来た、そう考えて今回は谷底には降りなかった。 アドルフ橋を渡って振り返ると、橋の美しさが一層分かる。冒頭に書いたように森の上に佇んでいるように感じられる。ただ大型の観光バスや路線バスが通っているのを目にすると、橋は風情がある落ち着いた橋というよりも、何処か生活感のある、「現代」の橋といった印象を受けた。しかし「現代」の橋だとしても、やはりその美しさは変わらない。現在のルクセンブルク市民にとっても交通的、景観的に重要な橋であるのと同時に、当時大公アドルフにとっても、その橋がある風景は他国に誇れるものだったに違いない。きっと彼はこの風景を一日中眺めていただろう。そんなことを思いながら憲法広場の方へ足を進めた。
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