| その簡単な食事の後、街中を散歩することにした。僕たちはまずツーリスト・インフォメーションに行くことにした。石畳の細い路地を通りながら、インフォメーションがある旧市庁舎に向かった。そこでドイツ語と日本語の簡単な案内を手にして僕たちは何処に行こうか考えた。それでまず歌劇場に向かうことにした。演目によってはそこで何か観ても良い。案内地図を見ると、そこに
Statt-Theater というのがある。レーゲンスブルクの歌劇場は州立だっただろうかと考えながら、地図に書かれた場所に向かった。
数年前にレーゲンスブルクを訪れた時、その前を車で通ったことがあり、その際「ここが歌劇場」と教えてもらった。ギリシャ風の柱がある建物だと印象に残っていたが、地図を頼りに歩いても、何処にもそのような建物は見あたらない。迷いながらも地図が示す場所に到着した。が、そこにはギリシャ風の柱もなく、歌劇場の雰囲気は何処にも見あたらなかった。そこでもう一度案内を見てみた。その時、Statt-Theater
を僕が州立の Staat-Theater と勘違いしていることに友人が気付いた。Statt-Theater
は歌劇場ではなくてコメディー劇場だった。「ごめん!」と謝りながら本当の歌劇場に向かった。勘違いしていた場所と本来向かうべき場所とは、幸いそれほど離れていなかったが、ここで雨がポツリポツリと降り始めてきた。天気予報通りであったが、とにかくヴァルハラにいるときに降らなく良かったと友人と話しながら歩いると、直ぐに歌劇場は見つかった。歌劇場は州立ではなくて市立のようだ。残念ながらその日の演目はなかったので、劇場へ来る途中、旧市庁舎付近で見つけたカフェで休憩することにした。
僕たちが向かったのは
Prinzess プリンツェスというお店で、入り口横に「1686年にオープンしたドイツ最古のカフェ」との表示があるお店である。またこのお店はドイツで最初にプラリーネが製造された場所でもある。プラリーネとは果実や洋酒をつめた一口サイズの(高級)チョコレート菓子である。1676年、レーゲンスブルクで開かれた神聖ローマ帝国議会にフランスから派遣された使節の荷物の中に、このプラリーネがあった。それからレーゲンスブルクで開催される帝国議会では、これが出されることが義務づけされるようになったとのことである。
僕たちは階段を上って2階のカフェに入った。店内はそう広くない。夕方だったせいか、お店の中は休憩をしている人が多く、一杯だったが、運良く小さな丸テーブルが空いたので、そこに腰掛けた。僕たちはそこでケーキとカプチーノを注文し一息ついた。壁際に置かれた人の背丈ほどある、大きな白いストーブが目に付く。またお店の入り口や階段にはショーケースに入れられた人形があり、それぞれ値札が付いていたが、一体誰が購入するのかと思わせるような値段が付いていた。
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