おでかけ ドイツ・ヴィース教会 |
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外は地面を叩きつける強い雨が降っていた。遠くから雷の音も聞こえている。そういった天候の中、礼拝堂の周辺にいる人々が拍手を始めた。そしてパイプオルガンの演奏にあわせて新郎新婦が入場してきた。歓声や拍手、そしてパイプオルガンの演奏で外の雨の音は聞こえなくなった。 ヴィース教会を訪れたとき、偶然、結婚式の場に出会った。今回の旅は以前、オットーボイレン(別ウィンドウで開きます)に連れて行ってくださった知人が「ヴィース教会に行きませんか?」と声をかけてくれたものだった(どうもありがとうございます)。当日、待ち合わせの場所に向かったが、天気は予報通りに快晴で、自分は半袖のまま家を出た。ヴィース教会周辺の天気予報も晴れとなっているので、また車での移動と言うことで、普段は持ち歩いている上着を持って行かなかった。 ミュンヘンからヴィース教会へは、車で約1時間半で到着出来た。カーナビの示すままに車は走ったが、途中全く舗装されていない道を通るなど、あまり知られていない近道があるのかも知れない。その知人の方もその道は初めてということだった。 教会から約100メートル程離れた場所にある駐車場に車を止めた。数台の大型観光バスが止まっている。車から降りると空気が非常に冷たいのが分かった。風はそれほど吹いていないものの、とにかく空気が冷たい。予報では20度前後まで気温は上がると言うことだったが、その時点では12、3度で半袖では寒く感じられた。空は少し曇っている。しかしその曇っている天候のせいか、教会周辺の緑は優しく見え、タンポポの黄色い花が良いアクセントになっていた。駐車場近くのベンチには数人の人が座ってお弁当を食べている。その光景を見ると、教会の建つ場所がよりのどかな場所に感じられた。
ヴィース教会(正式にはヴィース巡礼教会)はユネスコの世界文化遺産にも登録(1983年)されているので、その建築の謂われは色々なところで目にする。大体次のようなものである。(現在ヴィース教会がある地域の)シュタインガーデンのプレモントレ修道院で聖体行列のために1730年、鞭打たれるキリスト像が作られた。寄せ木で作られたこの像は、あまりにも悲惨に見えるため、1734年以降、修道院付属の食堂の屋根裏に保管されることになり、そのまま使われなくなった。 1738年3月、この食堂の主人の洗礼立会人がこの像を譲り受け、自身の農場に祀った。そして毎日熱心に祈りを捧げていると同年6月14日、そのキリスト像は涙を流した。その噂を聞いてこの像を一目見るために多くの人が訪れ、また巡礼する人々のために、1740年、そのキリスト像を祀るための礼拝堂が建てられた(ヴィース礼拝堂)。しかしその後も訪れる人が後を絶たず、その礼拝堂は手狭になったため、寄付を集めて新たに大きな礼拝堂が建てられることになった。そして1746-1754年に建設されたのが、現在のヴィース巡礼教会である。
ヴィース教会は少しだけ高い位置に建設されており、それへ続く道もほんの少しだけ上り坂になっている。少し高いところに建設されているので、教会の巨大さがより感じられ、同時に遠くからでも見えるので、「巡礼教会」という単語の響きが持つイメージに近い教会かも知れない。教会に近づけばピンク色の外観や面白い形に切られた窓枠などが興味を惹く。特に薄ピンク色の教会の建物は緑豊かな田園風景の中で、一際優しい雰囲気を出している。もしこれが、例えば赤レンガや黄色の教会だと、ここまで落ち着いた雰囲気にはならなかっただろう。 教会の入り口扉は木製で簡単な青銅の装飾がされてある。時代を感じさせるその古びた扉が、当時のものかどうかは分からないが、いずれにしても非常に質素な造りである。
教会の入り口ホールに入ると、そこにあるスピーカーを通して礼拝堂の中からの声が聞こえてきた。中を覗くと、そこにいる人は全員椅子に座っている。ミサを行っているのかと思ったが、よく聞いてみると、それは教会の説明であった。それに倣って自分も椅子に座った。 |
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