やまねこの物語

日記 オペラフェスト2006
3)「モーゼとアロン」(総稽古公演)

6月26日(月)、バイエルン州立歌劇場でシェーンベルクのオペラ「モーゼとアロン」のゲネラルプローベ(総稽古)が行われた。例えば休憩時間なども本番と全く同じように進められ、指揮者とオーケストラが私服ということを除けば、本番と全く同じである。あえて挙げるならば観客だろうか。公開稽古(無料)なので、観客も普段着の人が多く、自分もジーンズ姿で行った。

1923-1937年に作曲されたこの作品は、無調音楽でまたメロディーもあって無いような感じで
個人的には苦手な音楽である。CDを聴いて予め予習したが、聴くだけでは良さを全く理解出来ず、何かをしながら音楽をかけているのも難しかった。こういう音楽をオペラで見てもおそらく寝てしまうだろう、そう思いながら歌劇場へと向かった。

この総稽古が終われば、次は本番だけという状況なので稽古といっても、完成した形のものを観る(聴く)ことが出来る。寝てしまうのではという不安を持っていたが、逆に全く眠くならない、どちらかと言えば、その完成度の高さに興奮した状態だった。本番(3公演)ではどういった演奏が聴けるかわからないが、いずれにしても本公演が楽しみである。

ところで、CDでは寝てしまうと感じていた音楽が、歌劇場では何故興奮した状態にあったのだろうか。それはもちろん生演奏ということ、演奏の良さや迫力、聴くだけではなく、視覚的効果があるということが挙げられる。しかし、それだけではない気がする。

例えば言葉に言霊があるように、音にも音霊のようなものがあるのかも知れない。そこで思い出されたのがジョン・ケージの「4分33秒」という作品である。これは全く音のない作品である。実際には音がないのに音楽を楽しむ。自分でも上手く説明出来ないのだがオペラの中にそういった感覚があったように感じられる。「モーゼとアロン」を聴いたことによって何か目に見えない光が見えた気がした

「モーゼとアロン」総稽古公演後の挨拶

総稽古公演後の挨拶
 

「モーゼとアロン」総稽古公演後の挨拶 

総稽古公演後の挨拶
指揮者メータも私服。

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(2006年8月6日)

 

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