日記 オペラフェスト2006 |
2006年7月8日(土)、バイエルン州立歌劇場でリヒャルト・ヴァーグナー「トリスタンとイゾルデ」が上演された。またこの日は「みんなのオペラ」と題して歌劇場前マックス・ヨーゼフ広場に大きなスクリーンが出て、歌劇場からのライブ中継がなされた(無料)。 開演30分程前に歌劇場に向かった。17時からの開演に併せて、歌劇場前には多くの人が集まっていた。トラムも止められ、このイヴェントのために道路も交通規制がなされている。その間を縫って歌劇場に入った。チケット販売開始後、直ぐに売り切れになった演目の一つで、この日は非常に正装率の高い日であった。それがこのオペラに対する期待の高さを表していた。 歌劇場に入って舞台を見ると、そこに歌劇場前の模様が映し出されていた。外にカメラがいるのだろう。暫くするとそこにマイクを持つ、歌劇場総支配人ペーター・ヨーナス卿が映し出され、「みんなのオペラ」に集まった人達に向けて挨拶を始めた。その模様が歌劇場内のスクリーンにも映し出されている。 「今年で10回目の『みんなのオペラ』です。」と挨拶が始まった。そして出演者に関する話し(紹介)があり、最後に「『トリスタンとイゾルデ』は1865年6月10日、この歌劇場で世界初演された」という言葉で締めくくられた。 「『トリスタンとイゾルデ』が世界初演された歌劇場」、その言葉には、この作品のスタンダードを作ってきたという自負や誇りが感じられる。この日の演奏はその言葉通りのもので、非常に熱量の高いものだった。 ところで2幕と3幕の間の休憩時間に一度、歌劇場の外に出た。広場には歌劇場内からのライブ放送を楽しむ多くの人がいた。しかしその数は例年より少なくも感じられる。1時間近く休憩があるので20時過ぎという時間柄、夕食を食べに行っている人もいるのかも知れない。 もしくはその日はサッカー・ワールドカップ3位決定戦ドイツ対ポルトガルが21時から始まるので、そちらの試合を見に行った人が多いとも想像が付く。最初のヨーナス卿の挨拶時に、最後には指揮者メータを始め、歌手陣が歌劇場前に姿を現すので、終わっても直ぐに帰らないでくださいと言っていたのが思い出される。オペラの3幕とドイツの試合は時間が重なっているのでどれほどの人が歌劇場前に残っているのだろうか、そう思いながら終演後、歌劇場を出た。 23時前という時間にもかかわらず、広場を埋め尽くす程の人が歌劇場前で出演者が出てくるのを待っていた。ここまで多くの人が集まっていたことに対し、何故か自分も嬉しくなった。そして総支配人が出演者を紹介し、観客は多くのブラヴォーと拍手でそれに応えた。バイエルン州立歌劇場総支配人ペーター・ヨーナス卿と音楽総監督ズービン・メータにとって、(それぞれの役職では)最後の「みんなのオペラ」である。 最初の挨拶の時にこのイヴェントは「オペラを何度も観る人や時々観る人のためだけでなく、今までオペラを観たことのない人のためにも」なされるとあった。こういったオペラに触れる「きっかけ」があると、オペラに対する意識も変わってくるかも知れない。そんなことを思いながら、ドイツの勝利で盛り上がる街中を横切り、家路についた。 以下の写真は全て2006年7月8日に撮影したもの。 |
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(2006年8月6日) |
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